総合評価の全工事を対象に 低入調査の適用拡大促す

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 国土交通省は、都道府県・政令市の発注工事でダンピング対策を強化するため、低入札価格調査制度の適用拡大を促す。総合評価落札方式を採用する工事には金額要件を設けず、全ての工事を「低入札価格調査制度対象工事とすることが望ましい」とした。11月17日から開始する2025年度下期ブロック監理課長等会議を通じて活用を呼び掛ける。  価格以外の要素を加味する総合評価落札方式の工事は、地方自治法施行令により、価格のみを考慮する最低制限価格制度を適用できないとされる。一方、国交省の調査では、総合評価落札方式が「5000万円以上」の工事から適用されているにも関わらず、低入調査の対象は「5億円以上」とされるなど、要件に乖離(かいり)のある地方自治体が複数見られたという。  最低制限価格も低入調査も導入されなければ、ダンピング受注の防止を徹底できない。そこで国交省は、総合評価落札方式を採用する工事に対して金額要件を設けずに低入調査を導入するよう働き掛ける方針だ。  低入調査を行っていても、不適切な応札者が排除されなければ制度の実効性は保たれない。低入調査の対象となった応札者数と比べ、排除した応札者数の割合が特に低い団体もあり、監理課長会議を通じて適切な運用を促す。  ダンピング対策では、施工体制確認型総合評価方式の活用も有効とされる。国交省の調べでは、都道府県・政令市で20団体が本格導入、7団体が試行導入しており、全体の約4割を占めた。このうち、労務費を含む直接工事費を確認しているのは16団体となった。  低入調査で調査基準を下回った場合、品質確保体制や安全衛生管理体制を重点的に調べる「特別重点調査」の実施状況も確認した。都道府県・政令市では、導入団体が24団体となっており、22年から9団体増加した。導入済みの団体のうち21団体は実施に当たっての課題も「特になし」と回答した。  今後は、市区町村レベルでのダンピング対策の徹底が課題となる。都道府県へのアンケートでは、「県の幹部職員が副市長へ直接導入を呼び掛ける」(三重県)や、「対策が遅れている市町に対して原因を聞き取りし助言」(愛媛県)のように、直接的な働き掛けを行っている例も13団体であった。  この他、発注者協議会や公共工事契約業務連絡協議会での周知を22団体が実施していた。