公共事業費は抑制すべき? クラウディングアウトは起きてるの?

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このコーナーでは、ベテランたぬき記者の「ぽんせつ先生」が、知りたがりの九官鳥「キューメット」の質問に答えます(Q=キューメット、P=ぽんせつ先生)。 Q.もうすぐ補正予算がまとまるんでしょ? P.政府の2025年度補正予算案は、11月中に閣議決定される見通しです。年内には26年度当初予算案も決定します。「責任ある積極財政」を打ち出している高市内閣が公共事業や国土強靱化にどのような姿勢で臨むのか、これらの予算で明らかになるでしょう。 Q.予算は増えるの?減るの? P.補正予算に対する期待は大きいですね。23年に改正国土強靱化基本法が成立し、今年6月には改正法に基づく第1次国土強靱化実施中期計画が決定しました。この計画の初めての事業費が補正予算に盛り込まれる見通しです。関係者が数年掛けて作り上げたこの枠組みの下、初めて編成されるのがこの補正予算です。ただ、それでも公共事業費を抑制しようという動きはあります。 Q.誰?野党? P.昔と違い、公共事業費を積極的に減らそうとする政党はありません。公共事業費の増額を抑えようとしているのは財務省です。「クラウディングアウト」という言葉を使い、予算の増加を牽制しています。 Q.何それ?どういう意味なの? P.クラウディングアウトは直訳すると「押し出す」という意味です。もともとは、政府が国債を大量に発行すると金利が上昇し、民間の経済活動を圧迫するという意味で使われます。 Q.公共工事が民間工事を押し出す?分からないなー。 P.建設業の人手が不足しているのに公共事業費を増額する、人手不足なので公共事業だけでなく、民間事業も進まなくなる、というのが財務省が主張するクラウディングアウトの論理です。 Q.本当にそうなの? P.必ずしもそうとは言いきれません。公共工事と民間工事で中止・延期が発生しているのは事実ですが、その最大の要因は資材価格・労務費の上昇にあります。そうであるとすれば、価格上昇分を反映するために予算を増額しなければならないはずです。  建設投資の割合は、民間7割、公共3割です。公共工事の予算を増額しても、市場全体に与える影響はそれほど大きくありません。ただ一方で、人手不足が深刻化しているのは財務省の指摘の通りです。国土強靱化や災害時の地域の守り手としての社会の期待に応えられる産業であり続けられるよう、建設業にも改善すべき点は多いです。 Q.なるほどね。どこを変えたほうがいいんだろう?また今度教えてよ。