「実質事業量の増額確保」要望 労働法制見直し検討も 全建・全国会長会議
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全国建設業協会(全建、今井雅則会長)は11月18日の理事会で、政府・与党に提出する2025年度の要望を承認した。地域の建設業は、資材価格・人件費の上昇に伴う「実質事業量の減少に苦しんでいる」と訴え、25年度補正予算で第1次国土強靱化実施中期計画の初年度分として2兆円超、26年度当初予算で前年度の6・1兆円を大きく上回る公共事業費をそれぞれ確保すべきと要望。「柔軟な働き方」が可能となるよう、変形労働時間制に加え、労働法制の見直しも検討するよう求めた。
理事会終了後に開かれた全国会長会議の冒頭、今井会長は「高市内閣の『責任ある積極財政』への期待が高く、支持率にもつながっているが、期待と現実にギャップが生じないよう、業界が発信する重要だ」と集まった都道府県協会の会長らに呼び掛けた=写真。
要望書は、全建と国交省が全国9カ所で開いた地域懇談会・ブロック会議での意見を踏まえてまとめたもの。要望書では、建設業の施工余力が乏しいとの主張に対し、「(価格上昇によって)実際には実質事業量の減少に苦しんでいる」と反論。
26年度当初予算に資材価格と人件費の上昇に伴うコストアップ分だけでなく、高市内閣が掲げる「危機管理投資」や「成長投資による強い経済」を実現するため、必要な事業量を上乗せすべきとした。実施中期計画の5カ年の事業費「20兆円強」の2分の1が公共事業費と想定し、25年度補正予算に初年度分の公共事業費2兆円以上を確保するよう求めた。
週休2日をさらに推進するため、休日が増えても技能者が減収とならないよう、公共工事設計労務単価を月給制前提で見直すことを要望した。具体的には、酷暑・積雪に対応した柔軟な働き方を可能にするため、変形労働時間制に事後申請を認めることを要請。さらに、時間外労働の上限規制の適用から1年半で明らかになった課題を再検証し、労働法制の見直しを検討することも求めた。
さらに、夏季の屋外作業が気温上昇によって年々過酷になっていることを踏まえ、「夏季歩掛り」の設定、熱中症対策の拡充、工期延長と延長に伴う増加経費の計上が必要だとした。
