愛知県 中京圏の鉄道網充実へ基礎調査を実施

中部

1992年の答申図(国土交通省HPより)

 愛知県政策企画局は、中京大都市圏と中部圏を対象として、鉄道網の充実・強化に向けた基礎調査に着手する。圏域内の鉄道網の現状・課題を分析しながら、充実・強化策を検討、効果や実現に向けた課題を整理する。調査結果は関係機関と共有して、勉強会の実施などにつなげたい考えだ。  中京圏では、2011年3月に、名古屋市営地下鉄桜通線・野並駅―徳重駅間が開業して以降、鉄道路線の新規開通・延伸が行われていない。加えて、リニア中央新幹線を除けば進行中の整備計画がなく、鉄道網の整備は停滞しているのが現状だ。その一方で、東京圏では“羽田空港アクセス線”、大阪圏では“なにわ筋線”をはじめとする新規路線の整備、延伸が進んでおり、圏域内の利便性向上が図られている。  現時点では、県として充実・強化を想定している鉄道路線が存在しているわけではないものの、整備計画のない現状を弱みと捉えており、現状・課題を把握することで今後の方向性を検討する。  基礎調査では、中京圏・中部圏の主要地点から、名古屋駅や中部国際空港などへのアクセス性について現状分析するとともに、東京圏・大阪圏と鉄道アクセス性を比較する。  県では、「中京大都市圏」について、名古屋市を中心に、愛知県全域、岐阜県南部、三重県北部、長野県南部、静岡県西部などを含むエリアと設定。中部圏は、愛知の他に富山、石川、福井、長野、岐阜、静岡、三重、滋賀の各県と定め、東京圏の機能を代替可能な都市圏づくりを進めており、今回の基礎調査はその一環となる。  中京圏の鉄道網の整備を巡っては、1992年1月に国土交通省運輸政策審議会から「名古屋圏における高速鉄道を中心とする交通網の整備に関する基本計画」が答申され、2008年までに整備するべき路線が示されている。  答申に基づき現在までに、桜通線の徳重駅延伸や地下鉄名城線の環状化が進んだ一方で、笹島(名古屋市中村区)と高針橋(同名東区)を結ぶ路線や、桜通線の愛知県あま市七宝地区への延伸などはまったく進展していない。県の説明によると、今回の基礎調査が新たな答申につながる可能性は、非常に低いようだ。  基礎調査業務の委託先を公募型プロポーザル方式で選定した結果、三菱UFJリサーチ&コンサルティング名古屋(名古屋市中区)を特定、契約した。履行期間は26年3月24日まで。