直轄の3次元モデル作成・活用に要する人件費「500万円以下」9割

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 国土交通省がBIM/CIMを適用した工事・業務を対象に3次元モデルの作成・活用費用を調査したところ、技術者の直接人件費は500万円以下が全体の9割を占めることが分かった。3次元モデルを契約図書とする2027年度以降を見据えてこうしたデータを蓄積し、BIM/CIMに要する費用の標準歩掛の作成に生かす。  国交省は23年度から、詳細設計・工事でBIM/CIMの原則適用を開始した。3次元モデルの作成などの費用は、対象となる構造物の設計条件などを明示して見積もりの作成を依頼。受注者が提出した見積もりを受け、契約変更により精算している。国交省はこれまでに工事295件、業務248件で事例を収集した。  ただ、見積もり費用の計上方法に様式がなく、ばらつきが生じていた。計上方法を整理し、見積金額の妥当性を評価できるようにするため、24年3月から設計業務委託等技術者単価に基づく人工を積み上げる新たな見積書のひな形を作成・公開した。  今回、5月までに収集した直轄土木工事・業務の見積書のうち、国交省様式に沿った工事70件、業務85件についての分析結果をまとめ、11月20日に開いたBIM/CIM推進委員会幹事会で提示した。  工事の結果を見ると、分析対象の70件のうち9割は500万円以下となった。最も多いのは100万円超~200万円以下の20件。次いで、300万円超~400万円以下が17件となった。  業務も500万円以下に85件のうちの9割が収まった。100万円超~200万円以下が31件と最も多く、次いで200万円超~300万円以下が28件となった。  積み上げの対象となった作業は、実施計画書・報告書の作成や、3次元モデルの作成・変更の他、重ね合わせによる干渉の確認や現場条件の確認、施工管理といった活用事例も含む。  実際には、3次元モデルを作成する構造物の規模や工種、詳細度、活用方法などによって費用の大小は大きく変わる。国交省は引き続き、見積もり結果のデータの蓄積や事例の分析を通じて標準歩掛を整備する。  国交省は3次元モデルを工事契約図書として活用する試行工事を25年度に開始。26年度から試行を拡大するとともに、契約図書とするためのガイドラインを整備する。並行して2次元図面と3次元モデルの連携や、2次元図面の削減に関する検討を進め、27年度以降に契約図書として本格導入する見通しだ。