ダンピング対策拡大、徹底 市区町村への展開を申合せ
中央
国土交通省は11月26日、都道府県・政令市の入札担当者と意見を交わす2025年度下期ブロック監理課長会議の全日程を終えた。第3次担い手3法の全面施行を12月に控え、低入札価格調査制度や最低制限価格制度などダンピング対策の適用拡大を都道府県・政令市に求めるとともに、取り組みの遅れている市区町村には、より簡易な労務費ダンピング調査を含め、対策を徹底することを申し合わせた。
今回の監理課長等会議では、第3次担い手3法の全面施行を見据え、労務費を技能者の賃金として行き渡らせるための実効性確保を主要なテーマの一つとした。都道府県・政令市に対しては、総合評価落札方式の工事で低入札価格調査制度の適用を原則化することや、ダンピング受注を適切に排除する実効的な制度運用を求めた。
改正法の施行後は、入札金額の内訳書に労務費や材料費、法定福利費などの記載が求められる。労務費ダンピング調査では、落札候補者の入札金額内訳書に記載された直接工事費が官積算の97%を下回っていた場合に、労務費の適正性を確認する。合理的な理由なく労務費が削減されていたときは、書面による注意喚起・警告を経て建設Gメンに通報する仕組みだ。都道府県が市区町村と連携し、こうしたダンピング対策の徹底を促す。
夏季の猛暑が深刻化している現状を踏まえ、熱中症対策に必要な経費を計上するとともに、受注者の作業時間短縮に伴う工事内容・工期変更の申し出に誠実に協議することも申し合わせた。建設業法に基づく工期の基準を踏まえ、雨休率に猛暑日を考慮する。取り組みに遅れが見られる市区町村に対しては、国・都道府県の連携による働き掛けを強化する。
公共工事の円滑な施工確保に向けた取り組みも申し合わせた。改正建設業法を踏まえて資機材価格の高騰や納期遅れに対する設計変更や契約変更を適切に行うとともに、施工時期の平準化・ICT活用を推進するとした。
特に、能登半島地震をはじめ災害被災地の復旧工事で課題となっている入札の不調・不落対策を巡っては、都道府県が国と連携し、発注状況の実態把握や適切な発注関係事務の実施に取り組む。被災地以外でも、災害の発生時に対応できるよう都道府県の役割をあらかじめ整理する必要があるとしている。
改正品確法には、地方自治体の発注体制に対する支援強化も盛り込まれた。発注関係事務を適切に実施できる知識・技術を備えた職員が市区町村で不足していることを受け、国・都道府県による市区町村向けの研修や職員の受け入れなど、発注関係職員の育成支援・助言を強化する。
