就任時に掲げた「切れ目のない政策」26年も 池田豊人知事新年インタビュー
四国
2025年は、県立アリーナの開業に続いて、瀬戸内国際芸術祭、全国高等学校総合文化祭香川大会が開かれるなど、国内外から香川県に注目が集まった1年だった。今年3月に、初開催となるかがわマラソンも控える。9月に1期目満了を迎える香川県の池田豊人知事は「新たな事業は既存の事業が完了する前から計画的に進め、22年の就任から掲げる『切れ目のない政策』を実現させる」と力を込める。県のさらなる発展を目指す池田知事に26年の抱負を聞いた。
―26年に注力する分野を教えてほしい。
「南海トラフ地震などの大規模災害に備え、香川県の強靱化事業を継続する。一例として、海岸沿いでは地震による堤防の機能低下やその後の津波・高潮による浸水被害に備え、堤防の強化を進めていく。また、住宅の耐震化も忘れてはならない」
「併せて、避難所の生活環境について、課題にはトイレや生活空間をつくるパーテーションの設置などが挙げられる。これまでは市町が主体となって進めてきたが、早期の導入に向けて県のサポートを強化して課題解決に導く」
「香川県の産業振興に関して、規模の大小を問わず、企業の投資に対する意識が高い状態が続いている。工場の新設、設備の拡充、DXなど新たな取り組みは、全国でも高い伸び率を誇る。設備投資は企業規模の拡大に加えて、投資による供給で他の産業を含めた循環を生み出せる。本年も県内企業への補助制度を拡充させる」
―「人口の増加」は香川県の発展に不可欠な要素だ。
「香川県内で続く人口減少の幅を少なくし、増加に転じさせたい。今の世代ができることは、子どもを産みたい人が産み育てられる環境をつくること。子育てに対する経済的負担の軽減、子育て拠点の拡充、男性育児休暇の取得促進などに引き続き取り組む」
「これらを認知してもらう施策も重要だ。併せて、健康寿命の延伸に向けた取組みや、定住人口の増加とともに、観光やリモートワークなどで香川県を選んでもらえるよう、交流人口や関係人口の増加につながる施策も強化する」
―人口減少の社会で、「住み続けたい町」をどう考えているか。
「これまでの経験から、住み続けたい町には『楽しさ』『美しさ』『安全』の3点の条件があると考えている」
「昨年オープンした県立アリーナでは、有名アーティストのライブやファッションイベントなど大規模なイベントを定期的に開催しており、その都度、県内外の人々が香川県に来るきっかけをつくった。今後、大がかりでなくても楽しいと感じられる場を切れ目なくつくれたらと考えている」
「一方、ソフト面が充実した町にするため、美しさや安全性などハード面の整備も欠かせない。トイレや歩道、バス停など必ず目に入る施設を美しく保てれば、自然と人が集う場になる。併せて、歩行者優先のまちづくりを進めていく」
―香川県のにぎわいづくり。26年の方向性は。
「25年は瀬戸内国際芸術祭、全国高等学校総合文化祭香川大会が開かれるなど、世界、全国から香川県に関心が集まった1年だった。2月にオープンした香川県立アリーナも1年を通して高い集客力を示してくれた」
「今後、縁があって香川県を訪ねた人たちが、高松市以外の県内各地に足を伸ばせるよう、観光や交通の仕組みも必要だ。定住者に限らず、関係人口に当たる旅行者らに香川県を選んでもらえる施策も強化する」
「高松市の中心市街地では、サンポートエリアと高松中央商店街の連携機能強化が不可欠。歩行者優先のまちづくりを進めることによって、歩行者を増やし、回遊性を高め、まちを活性化させていきたい」
「香川県は車社会なので不便になるという声もあるが、人は歩いた方が町の新しい良さを発見しやすく、人通りはにぎわいの原点になる。週末限定でスタートしたサンポートエリアの歩行者天国も、一定の効果が見られるので、この成功事例を高松中央商店街に向けて展開していきたい」
―企業誘致について、今後の方針を聞きたい。
「香川県は災害に強く、降水量も少ないため進出意欲のある企業が増えている。19年度の企業立地件数は26件だったが、24年度は過去最多の61件となった。引き続き、首都圏での企業立地フェアを開催するなど県の魅力を伝える」
「企業から進出先としての評価が高まっている一方で、産業用地の不足が課題となっている。県内には地の利のある未利用地がまだまだあるので、企業誘致に活用していきたい」
「この他、四国の他県では企業誘致に関する助成金を引き上げる動きがあるため、香川県でもさらなる充実を図っていく」
「災害に強いメリットを生かして、データセンターの進出も増えている。AI対応のデータセンターが増えている環境があるので、業界を問わずAIやロボットに精通した企業を育てていきたい。費用面などで導入に積極的になれない企業も多いが、実装に前向きな企業に対しては支援を続けていきたい」
―道路分野でも「切れ目ない政策」を続けていく。
「20~30年前と比べると、道路を取り巻く環境は格段に良くなっている。しかしながら、渋滞は各所で発生しており、国道11号では、高松市内に向かう朝の時間帯、郊外に向かう夜の時間帯に慢性的な渋滞が見られ、また、瀬戸大橋通りの本町踏切の渋滞も深刻だ」
「この状況を見て『こんなものだろう』で片付けていては何も変わらない。少しでも改善したエリアとそうでない場所とでは、数十年後には大きな差が開く。改善に向けた意識を常に持ちながら一歩ずつ事業を前に進めていく」
「渋滞対策のほかには、香川県が整備する代表的な路線に、高松自動車道の高松西インターチェンジと高松空港を結ぶ県道円座香南線(空港連絡道路)がある。近年のインバウンドの増加もあり、高松空港は四国4県や中国・近畿地方への玄関口となる利便性の高い空港として航空会社から高い評価を得ており、空港の利便性や拠点性の向上による経済効果を県下全域に波及できるよう整備を進める」
「現状に満足することなく、次の段階に進めるため、良くしようという気持ちを持ち続けて、休まず、止まらず、切れ目なく事業を推進していくことが大切であり、『香川県幹線道路ネットワーク整備長期ビジョン』で示した、東西軸・南北軸などの道路整備を着実に進め、県土の発展につなげる」
