働き方改革はもう終わり!? 労働時間規制、どう緩和する?

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労働団体からは規制緩和に反対の声も挙がっている。写真は10月に開かれた厚労省有識者会議

このコーナーでは、ベテランたぬき記者の「ぽんせつ先生」が、知りたがりの九官鳥「キューメット」の質問に答えます(Q=キューメット、P=ぽんせつ先生)。 Q.もう12月だね。年末はボクも忙しいよ。 P.建設業界でも12月から3月は繁忙期とされる時期ですね。特に公共工事の現場では、3月の工期末に向けて残業も増える傾向にあります。 Q.でも今は残業時間にも上限があるからね。 P.確かにそうですが、高市内閣では「労働時間規制の緩和」が検討されています。 Q.え!そうなの?働き方改革じゃないの? P.高市首相は、健康維持や労働者の選択を前提として、規制緩和を検討するよう、厚労相に指示しました。これを受け、労働基準法の40年ぶりの大改正に合わせ、労働時間規制を見直すことが検討されています。時間外労働の罰則付き上限規制の見直しや、あらかじめ労使で合意した時間を働いたものとみなす「裁量労働制」の対象業務の拡充などが検討されるようです。 Q.話しが違うじゃない!苦労して残業減らした会社も多いんじゃないの? P.そうですね。ただ、今回の議論のキーワードは「柔軟な働き方」です。人手が足りない中で、規制が生産性向上の妨げになっているという指摘もあります。働きたい人が働けるよう、柔軟に運用できる規制にしようという狙いがあるようです。 Q.建設業界の反応はどうなの? P.企業規模や立場によって大きく異なります。建設業では、もともと問題になっていた現場の技術者の長時間労働の是正に取り組んできました。大手元請けが生産性向上や技術者の交代制によって残業を減らしていますが、人手に余裕がない中小の元請けは交代制を採用することができません。中小元請けの経営層にとっては規制緩和は歓迎すべきことかもしれません。 Q.規制を緩和してほしくない経営者もいるの? P.建設業には、時間外労働の上限規制が他産業と比べて5年遅れで適用されましたが、適用を契機に長年の課題であった現場の週休2日が進み、他産業との間にあった労働時間の差が縮まってきています。この流れが止まると、採用活動に悪影響が及ぶことを懸念する経営者もいます。  一方で、著しい気温上昇が続く夏季の労働時間を減らし、それ以外の時期の労働時間を増やせないか、という声も強まっています。月当たりの残業時間を月45時間とする労働時間規制を見直さないと、こうした対応も難しいという意見もあります。