東京都2026年度予算要求インタビュー① 谷崎馨一都技監兼都市整備局長

東京
 東京都の2026年度予算要求額は会計別にばらつきがあるもののほぼ前年度並みの水準となっている。ただ、一般会計の投資的経費については5・1%減の1兆1021億円と、22年度以来4年連続の増加から減少に転じた。その中でハード事業を手掛ける都市整備局、建設局、下水道局、水道局、住宅政策本部、港湾局の主要6部局は、物価高騰分などを適切に反映しつつ、事業量の確保に努めたという。各局のトップに予算要求の考え方や取り組む事業を聞いた(全6回)。  都市整備局の2026年度予算要求額のうち、投資的経費は前年度から約17%(95億円)増の659億円となった。主な増額要因はホームドア整備加速緊急対策事業(約70億円)や地下高速鉄道建設助成(約43億円)、新宿駅直近地区整備事業(約13億円)の計上だ。  当局の事業は進捗状況や区市町村など補助対象事業者の実施計画の変更などで、年度ごとに増減が生じる。しかし、局全体では25年度と同等の事業規模が確保できると見込んでいる。  要求に当たり三つの柱を掲げた。一つは「今後の東京のまちづくり」、二つ目は「都市の強靱化」、三つ目が「水の都とみどり、良好な景観形成」だ。  一つ目の「今後の東京のまちづくり」では、「都市づくりのグランドデザイン」を改定する。「2050東京戦略」も踏まえ、取り組むべき都市づくりの考え方を示したい。  コロナ禍を経て、人口減少や少子高齢化、先端技術の急速な開発など社会情勢の変化に加え、まちづくりが大きな転換点を迎えていると考えている。東京の持つポテンシャルを最大限に生かしていくことが、これからの取り組みの基本方針となる。  容積率の緩和などを活用した都市機能の更新、国際競争力の強化や東京ならではの魅力あるまちづくりに取り組むという根幹部分は大きく変わらない。これに加えて、既存のインフラを有効活用し、新たな魅力を創出していくのが大きな方向性だ。  その例として、既存ビルのリノベーションによるまちづくりを促進する。先行して23年度から神田神保町と渋谷、池袋の3地区で進めてきたが、26年度は他の地区のポテンシャルを探る基礎調査を行う予定だ。ビル1棟を丸ごとリノベーションするといった取り組みはまだ限定的だと思っている。例えば、1階は店舗、2~3階はオフィス、4階以上は住宅などにリノベーションして活用するなど、事例を増やしたい。  25年度中に改定する都市計画道路の整備方針では、優先的に整備する路線だけでなく、歩行空間や交流スペースの拡充などによる道路空間の再編にも取り組んでいく。リノベによるまちづくりとセットで行う箇所も出てくるだろう。  二つ目の「都市の強靱化」は、木造住宅密集地域の不燃化や耐震化などを進めてきており、TOKYO強靱化プロジェクトをさらに加速させていく。今年3月には、不燃化を一層促進するため、防災都市づくり推進計画の基本方針を改定したが、25年度中には耐震改修促進計画の改定も予定している。補助金などの事業費を要求しているので、着実に執行できる状況をつくっていきたい。  また、今年9月に豪雨による浸水被害が発生するなど、豪雨災害が激甚化、頻発化しており、ハード整備はしっかりやっていく必要があるが、時間がかかる。目の前の危機に対応していくため、止水板設置に関する補助を新たに創設した。こうした取り組みで東京の強靱化を加速させていく。  三つ目の「水の都とみどりのまちづくり、良好な景観形成」では、気候環境の変化への適応など社会的な課題解決に緑の活用を図りつつ、ウェルビーイングへの関心の高まりなどを踏まえ、水と緑を実感できる都市づくりを進める。  例えば、建築物の構造木質化を促すため評価制度の創設を検討している。中高層の建築物で木質化が進めば、東京の景観は変わるだろう。  また、世界一「みどり」を実感できる都市を目指す羅針盤となる「緑の広域計画」を26年度に策定する。この中で、区部、多摩地域の緑の在り方を整理したい。美しく風格のある都市の実現や脱炭素都市の創出に向けた取り組みを推進していく。  26年度も東京が明るい未来に向けて活力を高め、誰もが能力を発揮し活躍できる都市へと進化させる施策に注力する。