労務費確保の宣言企業に加点 建機保有の評価対象拡大も 経審改正を了承

中央
 国土交通省は、経営事項審査の審査項目を見直し、「技能者を大切にする企業の自主宣言制度」の宣言企業への加点措置を新設する。第3次担い手3法の全面施行に合わせて開始する同制度に基づき、適正な労務費の確保や、建設キャリアアップシステム(CCUS)の活用に取り組む企業を加点の対象とする。「建設機械の保有状況」で加点対象となる建機の拡大も決めた。12月2日に開いた中央建設業審議会の総会で了承された。省令改正などの手続きを進め、2026年夏ごろの施行を目指す。  今回、加点対象となる自主宣言制度は、技能者の処遇改善に取り組む企業を可視化るため新たに国交省が整備する。発注者から元請け、下請けまで建設業のサプライチェーンに関わる各事業者を対象とし、それぞれの立場から技能者の処遇改善に向けた取り組みを宣言した企業をポータルサイトで公開する。宣言企業との取引を優先する条件を設けており、改正法に基づく「労務費の基準」を踏まえ、労務費・賃金確保に取り組む企業が競争で不利にならないようにする狙いがある。  建設業者が実施すべき項目は、労務費などを内訳明示した見積書の作成や、下請けの見積もりの尊重、CCUSを用いた就業履歴蓄積の環境整備など。取り組みの内容と開始日を記載した宣言文書と誓約書を国交省に提出する。改正法を全面施行する12月12日から、宣言企業の申請受付を開始する。  経審では、宣言の日付以降の審査基準日から加点される。審査項目のうちW点(その他審査項目・社会性等)で宣言企業に対して5点を加点する。これに伴い、CCUSを用いた就業履歴の蓄積を評価する既存の審査項目で加点幅を5点分減らす。  W点については保有する建設機械の台数に応じて最大15点を加点する「建設機械の保有状況」の項目にも見直しを加える。新たに、不整地運搬車とアスファルトフィニッシャーを加点対象の建機として追加する。  能登半島地震の応急復旧工事で使用された建機の中に、加点対象となっていなかったものがあったことを受け、対象を拡大することにした。建設業者向けアンケートも踏まえ、能登半島地震で活用実績が確認された建機のうち、定期検査などで保有・稼働状況の確認が可能な建機を選定した。  また、これまでW点で加点対象となっていた社会保険への加入状況を審査項目から除外する。建設業許可に社保加入が必須となってから5年が経ち、加入確認が一巡したことを受け、審査対象から外すことにした。