「零細過多」産業構造を問題視 採用・育成阻むハードルに

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 国土交通省が設置した、今後の建設業政策に関する有識者勉強会で、小規模企業が大きな割合を占めている建設業の産業構造を問題視する意見が複数、上がっている。企業規模の小ささが人材の採用や育成を阻む要因となっているとの指摘もあり、直接雇用や月給制を促進するための政策についても議論の対象となった。  勉強会は、建設業の持続的な成長・発展に必要な政策を検討するため、国交省が設置したもの。今回は技術者・技能者を問わず、人材の教育や最適配置といった「人的資源」をテーマに取り上げ、学識者らが意見を交わした。  総務省の経済センサスによると、建設業は従業員数20人以下の小規模企業が全体の約95%を占め、事業所単位でも5人未満が半数超となっている。中小零細企業が占める割合が特に大きく、企業数の多い産業構造となっている。勉強会では、建設業の許可を得て営業する要件を厳格化すべきとの意見もあった。  一方、繁閑差などを背景とした直接雇用のハードルの高さが重層下請け構造につながっている実態もある。別の委員は業者数の多さについて一定の必然性を認めつつ、「数名の会社で人材育成やDX投資、採用ができているのか」と投げかけた。  産業構造の見直しを巡っては、技能者の直接雇用促進を施策として例示する委員もあった。制度的な対応に加え、インセンティブの整備、働き方の多様化など多様なアプローチを求める意見が出た。  小規模企業の占める割合が大きいことが、産業全体の生産性を損なっているとの観点から、産業構成の見直しの必要性への言及もあった。  現場が出発点となったイノベーションを促進する観点から、「強い下請け」が重要だとする声も上がった。  担い手確保に向けた政策の方向性も議論のテーマとなった。現場の朝礼への参加が難しい子育て世帯を活用するための工夫など、多様な人材の活躍を後押しする方策を求める意見があった。「限られた人材で現場を回す」という観点から、始業時間の柔軟化など、現場の運用の見直しが必要になるとした。  特に日給月給の多い技能者を巡り、「月給制であることが学生やその親にとって重要になっているのでは」と提起する委員があった。週休2日の促進も念頭に月給化を目指すよう求めた。