名鉄の名駅地区再開発計画 再検証・見直しへ

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 名古屋鉄道(名鉄)は、2026年度から本格着手する方針を示していた「名古屋駅地区再開発計画」と「名鉄名古屋駅再整備計画」について、計画の再検証と見直しを行うと発表した。27年度の着工などを想定していたスケジュールも全て未定としている。見直しに至った理由は、解体・新築工事の応札者の辞退。入札には1JVが参加していたが、「人材確保難により現計画での解体・新築計画の施工体制の構築が困難」であるとして、入札参加辞退届が提出されたという。12月12日に会見した名鉄の髙﨑裕樹社長は、「(工事費などが当初想定を大幅に上回る見込みとなり、)事業を推進する前提が大きく変わった」と説明した。  今回の計画見直しについて、名鉄は「白紙ではない」と強調。3月に発表していた複合ビルの開発と4線化を下敷きに、全体の方向性を維持した上で「ただちに再検証・見直しに入る」とした。再検証の期間は「現時点では未定」としているものの、髙﨑社長は「26年度中に何らかの方針を示したい」としている。  これまでの計画では、26年度に解体に着手し、27年度から新築に着工。33年度の1期完成時には、複合ビルの一部商業フロアとオフィス・ホテル・バスターミナルを開業するとともに、名鉄名古屋駅の4線化のうち2線の整備を完了する予定だった。さらに、40年代前半の2期完成をもって、商業エリアの全面開業と4線化の完了を想定していた。  計画には名古屋鉄道の他、名鉄都市開発(名古屋市中村区)と日本生命保険(大阪市中央区)、近畿日本鉄道、近鉄不動産(ともに大阪市天王寺区)が参画。名鉄百貨店本館から名駅南地区DHCプラントビルまでの約550㍍、敷地約3万2700平方㍍を対象に、2棟構成の複合ビル(鉄骨一部鉄骨鉄筋コンクリート一部鉄筋コンクリート造地下2階地上31階建て延べ約52万平方㍍、高さ約172㍍)と、名鉄名古屋駅の4線化を実施する予定だった。  開発エリア内で営業する、名鉄百貨店本店(本館、メンズ館)と近鉄パッセ(近鉄百貨店名古屋店)は、当初の予定通り26年2月28日付で営業を終える方針。同日に営業を終える予定だった名鉄スカイパーキング、26年3月22日に閉館を予定していた名鉄グランドホテル、同月31日に機能を終える名鉄バスセンターに関しては、営業予定を未定とした。  名鉄百貨店本店と近鉄パッセの施設建物の解体時期についても、名鉄は「検討中」としている。