意思疎通の重要性強調 改正安衛法の説明会を開催
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厚生労働省は12月16日、改正労働安全衛生法(安衛法)の説明会の初弾を都内で開いた。説明会では「東京の現場をもっと安全に!元請け・下請けができること」をテーマとする座談会を開き、建設労務安全研究会(労研)の理事長も務める鉄建建設の細谷浩明常務執行役員=写真=ら4人が意見を交わした。説明会には現地・オンライン合わせ約590人が参加した。
説明会の前半では、改正安衛法の保護対象に個人事業者が加わった経緯や影響、元請け事業者が講じるべき措置などを中心に、厚労省の担当者が安衛法の改正点を説明した。
説明会の後半に行われた座談会には、細谷理事長の他、明電舎の白鳥宗一常務執行役員、森井労働法務事務所の森井博子所長、医学博士の宮田俊男氏が参加。細谷理事長は、建設現場で深刻な人手不足が課題になっているとし、「外国人労働者の受け入れが構造的な人手不足を解消する戦略になる」との見解を示した。
一方、「外国人労働者のコミュニケーション能力の不足や、文化の違いが安全管理のリスクにつながる恐れがある」とも指摘。文化の壁を超えて意思疎通を図るため、「伝わりにくい言葉を優しい言葉に言い換え、ジェスチャーや図面なども活用する。労働者を直接雇用する事業主が、自分の身は自分で守る必要があるということを教育する必要がある」と話した。
白鳥氏は、東京の建設現場が抱える課題について、「狭い敷地の中で、分単位の過密なスケジュールで作業する必要があり、労働災害が生じるリスクが高い」と述べ、コミュニケーションや作業員同士の声掛けの重要性を訴えた。
宮田氏は、「建設現場にはヒヤリハットが多くあり、その裏には、メンタルヘルスの悪化が潜んでいる可能性もある」として、小規模事業場でもストレスチェックなどを活用してほしいと呼び掛けた。
森井所長は、「安衛法をはじめとする法律は、時代の変化に合わせて改正されている。建設業も変わっていかなければいけない」と話した。
説明会は、2026年2月19日まで全国13カ所で開かれる。
