受注者が責任持てる見積もりを 改正建設業法全面施行で説明会

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 国土交通省は12月18日、改正建設業法の全面施行により、受発注者に求める対応についての説明会を都内で開いた。労務費確保に向けた建設業者の見積もりを巡っては、「受注者として責任持って施工できる見積もりを」と呼び掛けた。仮に入札で安価な金額で落札したとしても、下請けには適正な労務費や法定福利費、安衛経費、建退共掛金などの必要経費を支払う必要があることを改めて周知した。  国交省は説明会で、公共工事設計労務単価相当の労務費確保を目指す「労務費の基準」の考え方や、基準を著しく下回るような見積もり・契約、総価での原価割れ契約を禁止する新たな価格交渉ルールを解説した。  国交省は、受注者だけでなく発注者も含めて商慣習を見直し、ダンピングによる受注競争の撲滅と、生産性・技術に基づく健全な競争環境に転換するよう促した。建設業者に対しては、適正な労務費の算出と見積書での内訳明示、下請けの見積もりの尊重などを求めた。  質疑では、国の標準歩掛と実勢の発注ベースの歩掛にかい離があるとの意見が寄せられた。国交省は、受注者として責任を持って施工できる見積もりを提出する必要があるとし、仮に入札で安価に落札した場合でも、下請けに対しては適正な支払いが必要になることを明確化した。  発注者支援事業者の立場から、内訳明示する「労務費」について労務単価、歩掛まで記載すべきかを問う質問もあった。国交省は、内訳明示の見積書はあくまで努力義務とした上で、労務費の内訳明示は技能者の賃金の原資である労務単価の確認を趣旨としたものだと説明。見積もり段階で労務単価部分を内訳明示していなくとも、建設Gメンが調査に入った場合は積算根拠を問われるとし、適切な対応を促した。  説明会は18日の関東ブロックを皮切りに、2026年2月にかけて全国10カ所で開催する。