続く物価の上昇 価格転嫁を確かな流れに

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 2020年代に入ってから続く物価上昇は、今年、どのような局面を迎えるのだろうか。政府や日本銀行は、26年の物価上昇のペースが上昇率2%未満に落ち着くとの見通しを示している。昨年末に決着したガソリン税の旧暫定税率の廃止には、さらなる物価の押し下げ効果もあるという。  デフレ脱却の判断は別として、日本経済はバブル崩壊以降で初めての本格的な物価上昇局面を経験している。ロシアのウクライナ侵攻に伴う原材料価格の上昇や円安といった外部要因に加え、人口減少は全産業に労働力不足をもたらし、賃金も上昇基調にある。26年は、物価上昇に落ち着きが見られるとの予測が大勢を占めるが、中長期的に見ると、今の物価上昇基調が続くとの見方が強い。  建設企業の業績も、この数年は物価の動きに大きな影響を受けている。物価上昇を契約に反映できず、不採算工事を多く抱えたゼネコン各社の利益率は低迷。不採算工事を消化し、価格上昇を織り込んだ受注が進んだこの2年で、ようやく業績を回復させた。  経営体力の弱い中小建設業への影響はさらに大きい。大手のように受注を選ぶことができず、分かっていても不採算工事を受注せざるを得ない企業は少なくない。  昨年12月、改正建設業法が全面施行され、労務費の支払いを担保する新しい価格交渉ルールが整った。総価請負契約の建設工事では、発注者の支払いが契約時に確定してしまい、資材価格が上昇すると、そのしわ寄せは労務費に及んできた。  契約時に必要経費と労務費を内訳として明示するこのルールでは、基準値を著しく下回る契約を禁止している。一昨年12月には、受注者が資材価格高騰のリスクを契約前に通知し、実際に価格高騰が顕在化した場合、注文者が誠実に契約変更に応じることが求められる。  長年の商慣習は法律だけで変わるものではない。バブル崩壊後のデフレ下において、総価請負契約は、コスト削減による利益の最大化を企業にもたらし、結果として業界共通の商慣習を生み出した。その反面、建設現場で働く技能者の賃金や処遇は低いままだ。このことが、離職者の増加と入職者の減少を招き、他産業を上回る担い手不足をもたらした。  物価上昇が続く中で、価格上昇分を転嫁できる法制度は整った。今年1年が、建設工事に関わるあらゆるステークホルダーが新しい価格交渉ルールを理解し、価格転嫁の流れが確かなものとなる1年になってほしい。