新たな首都直下地震の被害想定 最大死者数は2割減の1・8万人

中央
 首都直下地震への対策を検討する中央防災会議のワーキンググループは12月19日、首都直下地震の新たな被害想定をまとめた。想定される最大死者数は2013年度の前回想定から21・7%減少した1・8万人、全壊・焼失棟数は34・4%減の約40万棟となっている。耐震対策の進展や、ライフスタイルの変化による出火率の低下が、被害想定の減少につながったという。  ワーキンググループでは、今後30年間の発生率が約70%と高いマグニチュード7クラスの地震「都心南部直下地震」を対象に、被害想定を算出した。要因別の想定死者数は、強い揺れによる死者が最大で0・6万人、火災が1・2万人とした。建物は、揺れで13万棟、火災で27万棟が被害に遭うとした。  ライフライン別に被害想定を見ると、停電件数は33・3%増の最大1600万軒となっており、電力契約件数の増加を主な要因としている。水道の断水人口は7・1%減の最大1300万人で、給水人口は増えつつも施設の耐震化が進んだことが減少につながった。一方で、下水道に関しては、設備が利用できないなどの影響を受ける「支障人口」は、想定される液状化エリアの拡大などに伴い20・0%増の最大180万人へと増加した。こうした被害による経済活動への影響は、38兆円に及ぶとしている。  想定被害への備えとしてワーキンググループは、耐震化や液状化対策の継続に加えて、リダンダンシー(冗長性)を確保するといった、直接被害の絶対量を軽減する対策が必要とした。対策を推進するためには、各インフラ管理者が施設の老朽化状況をはじめとする情報を可視化し、利用者の理解を得ることが重要としている。  インフラ管理者に求められる具体的な対策も整理した。電気事業者と道路管理者に対しては無電柱化の推進、上下水道事業者には災害発生時の急所となる施設の耐震化を求める。河川・海岸管理者には堤防の整備や耐震対策の他、水門や陸閘の自動化の推進を要望。港湾管理者には施設の耐震化や液状化対策の推進を求めた。  想定被害を減少させるには、防災対策に対する国民の当事者意識の醸成も重要とした。ワーキンググループは、住宅の耐震化や感震ブレーカーの設置により、被害を大きく減らせるとも指摘している。被害軽減効果の試算によると、住宅が全て耐震化されれば、想定される全壊棟数11万2000棟を87%減の1万5000棟に減らすことができるという。感震ブレーカーを全棟が設置すると、想定焼失棟数26万8000棟を、72%減の7万4000棟まで減少させられるとした。