年頭所感 海外建設協会会長 佐々木正人氏
中央
あけましておめでとうございます。2026年の年頭に当たり、謹んで新春のご挨拶を申し上げます。
1955年に当協会の前身となる任意団体「海外建設協力会」が設立されてから70年以上の月日が経ちました。その間、進出先国における戦争や大きな政治情勢の変化、石油ショック、プラザ合意後の大幅な円安など、様々な経済情勢の変化等がありましたが、会員企業は短期的な増減はありますが、着実に海外建設受注を増やしてきました。2年連続で過去最高を更新した海外建設受注は、2025年度上半期も約1兆6000億円と、上半期として過去最高を大幅に更新しています。現場ごとに異なる難しい状況の中で試行錯誤を重ね、進出先国の発注者、現地スタッフ、協力会社等と新たな関係を構築し、世界各国でさらなる事業の伸長を図ってこられた会員各社の積極的な取り組みに、深く敬意を表します。
一方で、米国に端を発し、国際社会は歴史的転換期と言えるほど大きな変化を遂げつつあります。ウクライナや中東の紛争、グローバルサウス諸国の台頭等、海外での建設事業に変化・影響を及ぼす数多くの事象があります。また、SDGsなど世界的通念であった価値観も揺らいでおります。
こうした社会経済情勢の変化の中で、技術や進出先国のニーズに対応する能力に優れた我が国建設業が、海外における建設事業の主要な担い手であり続けられるよう、協会として全力を挙げて取り組んで参ります。特にODA事業などにおいては、内戦地域の工事における安全確保、工事内容の変更に伴う請負代金の不払い、本来非課税である税金の賦課、発注者による用地手当ての遅れ等、会員企業の事業展開の支障となる事例がいくつか見られます。国土交通省、外務省、JICAなどの関係機関に具体的な事例を示し、国際的な基本ルールに即して、我が国建設企業が海外市場で健全に事業展開できるよう、引き続き粘り強く対応いたします。
また、海外市場では近年、自己資金による公共事業が増加し、プロジェクトの規模も大型化する傾向が見られます。こうした市場の変化に対し、日本の建設企業の競争力を保つ方策も重要です。支部等を通じ、海外現場の生きた情報を把握するとともに、協会が有するデータを適切に整理し、広報することにより、会員企業の課題の改善に向けてお役にたつように取り組んで参ります。
建設業は、道路、河川などの社会資本、経済活動を支える建築物、生活を支える住宅など、社会を支える器を創り上げるかけがいのない役割を担っています。当協会は、海外で行う事業特有の難しさを強く認識し、関係各位と密接な情報共有、意見交換を行いながら、我が国建設企業の海外展開に対する支援を一層充実させて参ります。
さらなるご支援、ご協力をお願い申し上げますとともに、皆様方の益々のご発展をお祈りいたします。本年もよろしくお願いいたします。
