市区町村8割、猛暑日考慮せず 自治体発注工事の工期設定 

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 国土交通省と総務省、財務省が全国の市区町村を対象に、発注工事で猛暑日を考慮した工期設定を実施しているか調べたところ、2025年6月1日時点で何らかの対応を実施している割合は22・8%だった。前年度からは7・9ポイント上昇したものの、いまだ8割の市区町村が未対応の状態だ。国交省は夏季の猛暑の深刻化を踏まえ、実施率100%を目指してさらに働き掛けを強める。  全ての公共工事発注者を対象とした、入札契約適正化法に基づく実施状況調査(6月1日時点)で明らかにした。  工期設定に当たっては、建設業法に基づく「工期の基準」で暑さ指数(WBGT値)31以上の猛暑日を不稼働日として考慮するよう求めている。今回の調査では、国交省の直轄工事のように、猛暑日を工事の不稼働日としてあらかじめ工期に算入しているか調べた。  発注機関別に取り組み状況を見ると、都道府県は47団体中46団体(97・9%)が猛暑日を考慮して工期を設定している。残る1団体も年度内に対応する見込みだ。政令市は20団体全てが考慮。いずれも、85%前後だった前年度から取り組みが進展した。一方、市区町村は1329団体中392団体(22・8%)にとどまった。  週休2日工事を1件以上実施している市区町村は1328団体(77・2%)で、22・0ポイントの大幅増となった。26年度にも100%を達成できるよう、働き掛けを強める。全ての国、都道府県、政令市がすでに取り組んでおり、今後は発注工事に占める週休2日工事の割合のさらなる引き上げを促す。  ダンピング対策の進展を把握するため、低入札価格調査の基準価格や最低制限価格を算定する際に最新の中央公契連モデルを採用している割合も調べた。最低制限価格については、制度を採用している市区町村1532団体のうち1178団体(76・9%)が最新モデル相当かそれ以上の水準だった。調査基準価格は854団体中712団体(83・4%)が最新またはそれ以上。いずれも約3ポイント上昇した。  スライド条項への対応状況を見ると、市区町村では単品スライド条項について1075団体(62・5%)、インフレスライド条項について1044団体(60・7%)が運用基準を整備した。いずれも、約6ポイントの上昇となった。品確法の運用指針で運用基準の整備が公共発注者の責務と位置付けられたこともあり、対応が進んだという。  24年度の不調・不落の発生状況は、▽国が7・4%▽高速道路会社など特殊法人が17・1%▽都道府県が6・1%▽政令市が9・0%▽市区町村が6・8%―だった。特に国、都道府県、市区町村は減少傾向が続いている。