石神井川取水施設を改造 導水路など新設 都

東京

現在の石神井川取水施設の配置(白子川地下調節池パンフレットより)

 東京都建設局は白子川地下調節池の石神井川取水施設を改造する。気候変動を踏まえた降雨量の増加に対応できるようにするため、導水路や地下のトンネルへ水を流し入れるドロップシャフトを新たに設ける。これに伴う詳細設計をパシフィックコンサルタンツ(千代田区)に委託した。2026年11月30日までに成果を得て工事を発注する見通しだ。  白子川地下調節池(練馬区大泉2丁目~高松3丁目)は18年度に完成した内径10㍍、延長約3・2㌔の地下トンネル式調節池。最大21万2000立方㍍の貯留が可能で、令和元年東日本台風が襲来した際には約18万1500立方㍍の水をためた。  当初は区間の上流端に白子川からの取水施設(白子川取水施設、練馬区大泉町2丁目)を設けて白子川流域の降雨に対応させる構想だった。しかし、整備中の10年7月に下流端の石神井川で溢水(いっすい)被害が発生したため、下流端にも取水施設(石神井川取水施設、練馬区高松3丁目)を設けて石神井川の水を取り込めるようにした。  石神井川取水施設は延長49㍍の越流堤と導水路、トンネルに水を受け入れる内径2・5㍍、深さ22・2㍍のドロップシャフトなどで構成。白子川取水施設とともに17年3月に取水を始めた。敷地内には白子川地下調節池のトンネル構築でシールドマシンを到達させた内径19・5㍍、深さ47㍍の石神井川立坑が残っている。  都が気候変動を踏まえて河川施設のスペックを時間75㍉の降雨量に対応させる方針を打ち出していることから、時間50㍉対応にとどまる石神井川取水施設に改造を施してスペックを引き上げる。  具体的には取水口と石神井川立坑をつなぐ幅2・5㍍、延長45㍍の新たな導水路を開削工法で築造。さらに、石神井川立坑をドライ部とウェット部に区分けし、ウェット部にドロップシャフトを設置してトンネルへ水を受け入れることを考えている。  石神井川立坑には、環状七号線地下広域調節池・石神井川区間(中野区野方5丁目~練馬区高松3丁目、延長約5・4㌔)の整備でトンネルを構築するシールドマシンも到達させる。大成・鹿島・大林・京急JVが28年2月29日までの工期でシールド工事を担当している。  このためヤードを取り合うことがないよう施工計画を練った上で、シールド工事の完了を待たずに石神井川取水施設の改造工事に着手する考えだ。  白子川地下調節池と環状七号線地下広域調節池・石神井川区間、既設の神田川・環状七号線地下調節池(杉並区和泉1丁目~中野区野方5丁目、延長約4・5㌔)の三つを連結し、総延長約13・1㌔のトンネルで約143万立方㍍の貯留量を確保。調節池間で貯留量を相互融通して白子川、石神井川、神田川の各流域を時間100㍉の降雨に対応できるようにする。