2026年春、BIM図面審査が始動 Linxで実現する新しいBIMのかたち

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CAD営業部東京事業所の境野基史所長

 2026年春に3Dモデルから出力したPDF図面と参考用のIFCデータを提出する「BIM図面審査」が始まる。さらに29年春からは、3Dモデルそのものを対象とした「データ審査」に段階的に移行する計画だ。これは国土交通省が推進する建築確認分野のデジタル化施策の一つ。BIM図面審査を業界の転換点と捉えるダイテック(東京都品川区)は、建築設備専用CAD「CADWe‘ll Tfas」の操作感を継承し、互換性に優れるBIM対応CAD「CADWe‘ll Linx」(以下、Linx)の機能を強化している。同社では、3Dモデルを単なる設計情報にとどめず、発注・施工・維持管理に直結する「情報資産」へと進化させる戦略を推進している。  同社CAD営業部東京事業所の境野基史所長は、「従来の作業ではフロアごとにデータを積み重ねながら統合していたため、図面作成と3Dモデル作成の『二重作業』が生じていた」と指摘する。その上で、「Linxは、同一のモデルデータを多人数でリアルタイムに更新する『ワンモデル運用』が特長だ。さらにレイアウト機能により、モデルデータから平面・正面・側面といった各断面図を素早く展開できるため、後から図面を統合する手間を大幅に省ける」と優位性を説く。また、BIM図面審査における「確認申請図書表現基準(設備)」に沿った作図が可能かという問い合わせも多いという。こうした声に対し、「Linxでは、クラウドサーバー上に『キャビネット』と呼ぶ共有領域を設けBIM図面申請用の各種設定を保存することで、複数の作業者間で作図設定の統一や共有が可能になる」と語る。  さらに、モデルデータに含まれる「属性情報」の活用こそがBIMの本質と位置付ける。BIMモデルをデータベースとして扱えるため、対象オブジェクトの全情報を出力でき、データは指定項目ごとに集計・抽出して表示することが可能だ。加えて、Linxは、モデル上の変更が連動する集計表や発注書へ自動的に反映され、修正のたびに表を作り直す手間を解消するデータベース機能を備えている。将来的なデータの利活用を見据え、社内でテンプレートをキャビネット共有すれば、誰でも同じ手順で正確なデータを抽出でき、膨大な時間を費やしていた集計作業を削減できる環境を構築。これにより、技術者が本来の業務に専念できる体制を整える。  BIMの普及には、設計を担う実務者だけでなく、現場管理者や発注者(施主)までが等しくデータを扱える環境が不可欠だ。同社では、確認業務に使える無償の高機能ビューアを提供している。図面の表示や3Dモデル表示、属性検索・確認、干渉チェック、各種計測などが行えるツール。境野所長は、「ビューアによって、メインユーザーであるサブコンだけでなく、ゼネコンの現場担当者や維持管理を担う施主まで、立場を超えてBIMデータに触れる機会を増やしたい。『無償提供』によって導入ハードルを下げ、業界全体のBIM活用の裾野を広げていくことが狙い」と語る。  今後、竣工後の維持管理を見据えたBIMの価値をさらに追求していくという。「特に維持管理部門においては、モデル内の属性情報を活用した空調機や配管の更新計画、耐用年数に基づく修繕予算の策定など、建物のライフサイクル全体を支えるプラットフォームとしての活用を推進していきたい」と強調し、施主のメリットに直結する次世代の設備DXをけん引していく構えだ。