知りたい 防衛施設の強靱化(3)不調・不成立防止に注力 新たな入札参加者呼び込む
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2022~24年度の不調・不成立件数
政府の2026年度当初予算案で、防衛費が初めて9兆円を超えた。このうち、防衛施設の強靱化には前年度比26・3%増の8784億円が充てられ、26年度は発注件数の増加が見込まれている。実際、22年度から24年度までの3年間の契約件数は大きく伸びた。だが、不調・不成立件数は、契約件数を上回る伸び率で増加した。防衛省は、「これまで入札に参加してこなかった新たな建設業者を呼び込まなければ」(防衛省整備計画局建設制度官)と、不調・不成立防止に向けた入札制度づくりを進めている。
24年度の契約件数は、工事が22年度比14・4%増の713件、建設コンサルタント業務が24・7%増の1085件。一方、入札者がいたものの落札に至らなかった「不調」と、入札参加者がいないために入札取りやめとなった「不成立」の合計件数は、工事が111件から302件に増え、コンサル業務が45件から284件と、いずれも大幅に増加している。
不調対策の一つとして、実勢価格と乖離(かいり)した予定価格とならないよう、防衛省は「見積活用方式」を試行しており、積算価格と実勢価格にギャップがあると考えられる項目の見積もりを入札参加予定者に提出させ、妥当性が確認できた見積もりを積算価格に反映している。
発注者側の積算にできる限り透明性を持たせつつ、適正な価格算定がされるように見積単価を事前に交付する取り組みも進めている。これにより、22~24年度の平均落札率は工事は約96%、コンサル業務は約91%と、他の発注機関と比べて高水準で推移するなど、受注者の適正な利潤の確保に努めている。
また、建設業の慢性的な技術者不足にも対応している。配置予定技術者の施工経験の規模要件を廃止し、施工実績も「求める同種工事の現場施工期間の2分1以上の期間に従事」へと緩和。WTO基準額以上の工事では、配置予定技術者の資料提出を落札候補者のみに限定している。
さらに、入札参加者が、入札前に一時的に支払う入札保証金の納付方法も1月から改めた。防衛省では、5億円以上の土木一式工事・建築一式工事と、3億円以上のその他の工事について、見積金額の5%分となる入札保証金の納付を求めている。
これまでは、入札保証金については、現金の納付のほか、国債や銀行の保証を担保として認め、さらに保険会社による入札保証保険契約を締結した場合に納付を免除していたが、これに加え、1月以降に公告する工事では、新たに銀行等や保証事業会社による契約保証の予約も入札保証金の納付を免除できるようになる。
防衛省は、入札制度の見直し以外にも、工事書類のスリム化やDX化による現場の働き方改革、費用計上の見直し、技術業務へのスライド条項適用などの取り組みを通し、入札参加者の増加を試みている。防衛省の事業に関心の高い団体や学識者とも意見交換を重ねており、「制度のさらなる改善に向け、柔軟に対応する」(施設計画課)と話している。
