静岡市内のオフィス不足に危機感 難波市長 

静岡
 静岡市内では2017年に日本生命静岡ビルが建築されて以降、新規にオフィス供給がなされていない。静岡市の難波喬司市長は1月8日の定例記者会見で、この状況を「異常と言わざるを得ない」と強い言葉で危機感を示した。人口100万以下の政令指定都市の20年~24年のオフィス新規供給量は、新潟市が3万0690平方㍍、熊本市が3万1680平方㍍で、静岡市は大きく差を付けられている。市は、今後の企業誘致のために、再開発事業や中心市街地のまちづくりで、オフィス確保に取り組む方針だ。  難波市長は「大規模な再開発も大事だが、民間事業者にも依頼し、既存のビルをオフィスに改装していくような即効性のある供給が大事」と述べた。  24年9月時点の静岡市内のオフィス空室率は2・3%。難波市長はこの数値を「空室はあるものの、欲しいと思うような空室がなかなか見つからない状況」と説明した。  政令指定都市の中では、データを公開していない堺市と相模原市を除く18都市の平均5・4%を下回り、最も低い。人口100万以下の政令指定都市の平均は6・11%で、北九州市12・66%、浜松市3・79%、新潟市4・53%、熊本市8・40%、岡山市4・99%となっている。  企業の市内への新規進出や市内企業の規模拡大の促進などを担当する市の産業基盤強化本部は、約40件のオフィス物件の情報を保有している。しかし、17年以降の新規供給がないため必然的に新しい物件が少なく、築20年以上の物件が約95%、40年以上が50%を占めている。  静岡市は大学や専門学校で情報やデザインの分野を学ぶ学生が多い特徴があり、若者にとって魅力のある雇用を作り出し市内での就職を促すため、デジタル関連企業の誘致をしている。  デジタル関連企業のオフィスへのニーズは、利便性の良いJR静岡駅近くで20坪から40坪を希望するケースが多く、中には100坪以上の規模を求める場合もある。さらに、従業員を集めるために洗練された外観デザインや勤務環境、イメージを重視する傾向にあり、比較的新しい物件への入居ニーズが高い。空きオフィスと需要が、かみ合っていない状況だ。  難波市長は「将来にわたって静岡市では(オフィスの)供給がないと見られてしまうと、静岡市への進出は無理と判断されかねない。短期的な供給と中期的に大きなオフィスを供給することの両面で、(供給見込みがあることを)見せていくことが大事」と述べた。  難波市長は、JR清水駅東口への移転方針案がある清水庁舎に触れ、「容積的(規制的)には3万5000平方㍍程度の床面積になるので、仮に市が1万5000平方㍍を使うとしても、2万平方㍍ぐらいの供給ができる可能性がある」とした。  「紺屋町・御幸町地区第一種市街地再開発事業」について、過去に「オフィスが欲しい」と発言したことを問われ「建設コストが増大し、採算が取れにくい厳しい状況がある。これから(事業を)動かしても4年ぐらい先でないと新規供給が出てこない。その間、例えば民間のビルで店舗をオフィスに変えるなど、既存の物件を活用しながらオフィスを供給してもらうことが必要」と述べた。  難波市長は「オフィスを供給していかないと、非常にまずい」とし、静岡市の人口減少の課題にも触れ、「新規雇用が生まれて来ないのは、企業の進出が少なく、新しい仕事が生まれず、若者が就職する職場が少なく市外に出ていかざるを得ないという状況がある」と指摘した。  オフィス不足の背景を問われ「言いづらい」としながらも「高さ制限などの規制をかけすぎていた」ことを挙げた。また「紺屋町・御幸町地区第一種市街地再開発事業」は、「私の市長就任前で、いま振り返れば、だが」と前置きし「コロナ禍と重なったこともあったが、計画中に補助率を下げたことでビルが成り立たなくなった。20年ぐらいに着工していれば、建設コスト高騰前で相当安く建てられたはずだが、今は建設コストが1・5倍や2倍ぐらいになり、採算性が非常に厳しい」とした。