橋本組 「えるぼし」の最上位に認定される 職場が回る環境構築

静岡

女性が活躍できる環境づくりを支えてきた橋本エグゼクティブ

 「制度は作って終わりではなく、現場で当たり前に使われるようになるまで向き合い続けることが大切だと思っています」と、橋本組(焼津市、橋本真典社長)で総務部門を担う橋本節子エグゼクティブは経験から得た教訓を端的に表現する。同社は2025年11月18日、女性活躍推進法に基づく「えるぼし」認定において、最上位となる認定段階3を取得した。「えるぼし」認定は、「採用」「継続就業」「労働時間等の働き方」「管理職比率」「多様なキャリアコース」の5項目について国が評価する制度で、段階3は全ての基準を満たした企業のみが認定される。長時間労働や現場業務が多い建設業では取得のハードルが高いとされる中、同社が認定取得に至った背景を聞いた。  同社では19年以降、毎年20人前後の新卒採用を継続的に行い、若手社員が育ち、定着する環境づくりを進めてきた。その中で女性社員も自然と増え、現在の女性比率は26%、女性管理職比率は15・4%となっている。女性社員の約5割は、工務・設計・積算・技術支援などの技術系部門で活躍している。橋本エグゼクティブは、「女性を増やそうと狙ってきたわけではありません」と話し、「男女に関係なく力を発揮したい人が安心して働けるよう、仕事の進め方や支え方を整えてきた結果が、今の数字につながっているのでは」と受け止める。  同社が重視してきたのは、新しい制度を増やすことよりも、それが実際に使える職場になっているかどうか。忙しい現場では、「自分が抜けたら迷惑がかかる」と感じ、育児や家庭の事情があっても働き方を変えることをためらうケースが少なくない。そこで、短時間勤務や在宅勤務といった仕組みを整えると同時に、業務分担や引き継ぎのやり方を見直し、特定の社員に負荷が集中しない体制づくりを進めてきた。本社にはキッズルームを設け、子育て中の社員が無理なく働ける環境づくりにも取り組んでいる。その結果、育児休業後の職場復帰率は100%を維持している。「特別な取り組みがあるからというより、戻ってきて当たり前という空気が社内にはあります」と語る。復帰後の働き方も一つに固定せず、短時間勤務や在宅勤務など、本人の状況に合わせて相談しながら決めている。  こうした積み重ねにより、社内の意識にも変化が見られるようになった。以前は「建設業だから仕方ない」という言葉が出やすかったが、今では若い社員を中心に、「どうすればできるか」を考える場面が増えている。新卒採用を継続してきたことで、若手が増え、ベテラン社員にとっても仕事の進め方を見直すきっかけになっている。世代や立場を越えて声を掛け合い、チームで支え合う雰囲気が、少しずつ根付いてきた。  建設業で働くことに不安を感じている女性に向け、橋本エグゼクティブは「建設業だから、女性だからと、最初から枠を決めなくていいと思います。仕事はやってみないと分からないことも多いですし、会社の在り方も変わってきています。一人で抱え込まず、相談できる環境があるかどうかを大事にしてほしいですね」と語る。制度を整えるだけで終わらせず、日々の仕事の中で「回る形」に整え続けた同社の取り組みは、建設業における人材定着の一つのヒントとなりそうだ。