開発最前線 デベロッパーの戦略 ⑤日鉄興和不動産

東京

日鉄興和不動産 奈良氏

 「人と向き合い、街をつくる」という企業理念のもと、居住者の「心地よさ」「利便性」の追求を続ける日鉄興和不動産。住む人の視点に立ち、徹底した調査を進めながら、首都圏を中心に分譲マンション事業を展開する。“お客さまの人生を豊かにするために考え続けるマンションブランド”をコンセプトとし、販売開始から25年を迎える『リビオ』シリーズは、トレンドに合わせて改良してきた。設計段階で品質の維持を念頭に置き、入居後も丁寧な管理・アフターサービスに努め、居住者ファーストに徹する。今後の分譲マンション事業の展開を、奈良敦住宅事業本部長に聞いた。  ―リビオの特徴を教えてほしい。  「リビオが誕生した2001年はデフレの時代だったこともあり、無駄な部分をそぎ落とし効率的かつ質実剛健というコンセプトで、高価格帯ではなく中価格帯の商品が中心だった。コロナ禍を機に他社は都心部から郊外へ供給をシフトしつつあったが、都心部の需要を見据えて、高価格帯商品としてのリブランディングを進めている。これまでの作り手が主となるプロダクトアウトから、居住者に寄り添うべくインタビューで入居者の声を集めて満足度の向上に生かすマーケットインに方針を転換した」  ―今後計画するリビオはあるか。  「目黒区の目黒三丁目に、同区では最大規模となる敷地面積約1万4000平方㍍、約200戸のリビオの建設に25年11月から着手した。規模は鉄筋コンクリート造6階建てで約200戸、間取りは3LDKで主にファミリー層が対象。完成は28年7月を予定。社内で展開している敷地の既存樹木を再利用する『緑の循環プロジェクト』を取り入れ、周辺環境と調和した『緑のリビオ』を目指す」  ―注目するエリアはどこか。  「これまでは都心の南・西エリアの住環境が評価されていたが、最近は通勤の利便性が高く、ワーカー層に好まれる門前仲町や東陽町、入谷や千住周辺などの北・東エリアが注目されている」  ―都内以外での展開は。  「千葉県内では浦安や稲毛などでファミリー向けマンションを供給しており、北習志野でも販売を計画する。神奈川県内は川崎市内の南武線や京急線沿いで物件を供給している。大阪府内では関西エリアで初の『リビオタワー』を27年度に2物件着工する予定だ。都心部で華々しく誕生させ、関西エリアでも『リビオ』ブランドを売り込んでいく。九州エリアは日鉄ゆかりの北九州や大分が中心だったが、現在は福岡市内にも進出している」  ―供給戸数の見通しを聞かせてほしい。  「ここ数年は首都圏で毎年1000戸前後、大阪や福岡を合わせると約1300~1400戸で推移しており、毎年少しずつ増加傾向にある。3~5年後も同様に増加する予想だ」  ―グループ内で最近話題になっていることは。  「事業統合した約10年前まではオフィスビルとレジデンスの二つの事業が主力だったが、物流施設開発を中核事業に加え、さらに最近はホテル事業を拡大しており、毎年2棟ペースで新施設の建設を進めている。その他、昨年12月に農業事業に参入し新会社『日鉄興和不動産農業』を設立した。第1弾として北海道室蘭市でリンゴ栽培を開始する。今は小さな事業でも種をまくことで大きくなる。それを期待している」