「施工力」生かす働き方議論 技術者・技能者の課題分析

中央
 国土交通省が昨年末に開いた「今後の建設業政策の在り方に関する勉強会」では、変形労働時間制度の活用や技術者の残業削減、技能者派遣の検討といった働き方の見直しを巡って議論が交わされた。近年の建設業政策は技能者の処遇改善を通じた担い手確保が柱となってきたが、今後の論点として、建設業で働く人が力を最大限発揮し、「施工力」を高める仕組みづくりがテーマに挙がった。  働き方を巡っては、技術者・技能者の違いや、大都市部の建築を主体とする建設企業と、地域建設業の違いに応じ、「それぞれで細分化した課題を洗い出す必要がある」との意見が出た。労働時間や給与の支払制度、休暇といった論点が示され、個社、業界、国のそれぞれの立場から取り組み事項を整理すべきとされた。  24年度から建設業に適用された時間外労働規制を巡っては、特に長時間労働の多さが指摘される元請け技術者の対応が困難となっている。勉強会では、労働時間を1年単位で柔軟に設定できる「変形労働時間制」の有効性を巡って議論。同制度を活用すれば繁忙期の所定労働時間を長くし、閑散期に短くするなど繁閑差や気候条件に応じて働き方を柔軟化できる一方、1カ月前までに勤務日を定める必要があるなど、制度の使い勝手の悪さが課題として挙がった。  勉強会の委員からは、変形労働時間制度について小規模事業で適用が「現実的には難しい」との指摘が出た。労働者自身の裁量で出退勤の時間を柔軟化するフレックスタイム制の活用を促す提案もあった。  専門工事業については、働き方改革や社会保険加入に対応できない会社の「淘汰(とうた)」が進むとする委員もあった。企業の規模に応じ、適正な労働条件の整備や人材育成への投資が進むような環境整備を求める意見も出た。  繁閑差の緩和に向け、現在は規制されている技能者派遣について、「正面から適正な派遣を行うことについても検討すべきではないか」との声が上がった。  現行制度では親会社・子会社間で労働者を出向させる「在籍型出向」があるが、技能研さんを目的としていることから、労働力の融通に用いることは「制度趣旨とは異なる」とされた。例外的に建設労働者の送り出し・受け入れを認める労働者就業機会確保事業も、労働者が余る場面を想定したものだとし、担い手不足が危ぐされる現状に見合った制度が必要との指摘が出た。