資金繰り支援の需要拡大 元請の利用、2年で4割増

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 公共工事を受注した元請け建設業者を対象に資金繰りを支援する「建設業安定化基金(地域建設業経営強化融資制度等)」の活用が急速に拡大している。2022年度と比べた24年度の新規債務保証は件数ベースで38・6%増、金額ベースで55・9%増と大きく伸びた=グラフ。資材価格や労務費の上昇といった資金繰りに対する懸念の高まりが背景にあると見られる。国土交通省は3月31日までとなっていた新規受付期限を31年3月31日まで5年間延長することとし、債務保証を行う建設業振興基金に1月30日付けで通知した。  建設業安定化基金による地域建設業経営強化融資制度の対象は、資本金20億円以下・従業員1500人以下の中小・中堅元請け建設業。公共工事の請負代金債権について、発注者の承諾を得た上で融資事業者(事業協同組合など)に譲渡し、工事出来高の範囲で融資を受けることができる。基金により、融資事業者の債務を保証し、金融機関から資金を調達して元請け建設業者に低利で融資できるようにしている。  これにより、元請けは工事の途中段階から資金繰りを改善できる。保証会社による前払金保証とともに、元請けの経営基盤を強化する仕組みとなる。下請けへの適正な代金支払いを促し、連鎖倒産を防ぐ制度となっている。  近年の活用状況を見ると、新規債務保証は22年度から24年度にかけて件数・金額ともに増加。22年度の904件・約288億円から、24年度には1253県・約499億円へと急増した。物価高騰の他、政府の手形廃止方針を受けて金融機関が新規の発行受付を停止していることなども影響している。  下請けの資金繰りを支援する「建設業債権保全基金(下請債権保全支援事業)」についても、新規の受付期限を27年3月31日まで1年間延長する。  この制度は、元請けの財務状況に不安があるとき、下請けが元請けに対して持っている請負代金などの債権をファクタリング会社が保証するもの。基金により、債権回収が困難な場合にファクタリング会社への損失補償や、下請けがファクタリング会社に支払う保証料の助成を行っている。  下請けが当座の資金を必要とする場合、債権をファクタリング会社に買い取ってもらうことができる。元請けに知られず利用でき、保証する債権は公共・民間工事を問わない。  下請債権保証の件数・保証総額は減少傾向が続く。20年度は2789件・約321億円だったが、24年度は1197億円・約153億円と半数以下の水準となった。国交省は、制度の潜在的なニーズは大きいとみており、周知を急ぐ。