実装近づく「フィジカルAI」 被災建築物点検を無人化
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四足歩行ロボットによる調査(提供 建築研究所)
建築研究所(建研)は、複数の四足歩行ロボットが災害で被災した建築物を調査する技術を開発した。災害時だけでなく、平時での活用や、人型ロボット(ヒューマノイド)との連携も見据え、近くさらなる実証実験を行う予定。カメラやセンサーで周囲を把握し、自律して動く人工知能「フィジカルAI」の発展により、建設分野でのロボット導入が現実化しつつある。
建研が今回、災害現場を想定してロボット導入を検討したのは、従来の人の目による調査では安全確保が難しく、心身両面の負担も大きいためだ。研究では、複数ロボットが連携し、夜間の屋外走行や建築物の調査、遠隔臨場、傾いた柱の計測などが可能なことを確認した。
災害時は、初動段階での人命救助や被災建築物の応急危険度判定に活用することを想定。二次災害の恐れがある場所での活用や、判定業務の効率化に生かす。まずはロボットに搭載したカメラを介して人が判断する段階から始め、AIによる判定支援へと性能を高める。将来的には、ロボットによる調査とAIを活用し、人と同じ判定の実現を目指す。
人型ロボット(ヒューマノイド)の活用も想定する。ドローンによる上空からの被災状況調査や、四足歩行ロボットによる不整地での移動支援を組み合わせ、発災時の初動から復旧段階まで一貫して運用できる無人調査システムを開発する。
将来的な人手不足が課題となる中、災害時だけでなく、平時でのロボット活用も見据える。建築物の維持保全や、災害に備えた応急危険度判定の基礎情報収集などをロボットに担わせることを検討。建築物の外観調査により劣化状況を把握する他、建築確認時の立ち会いなどに対話の可能なAIを備えた人型ロボットを活用することなども考えられる。
特に人型ロボットについては、物の運搬や軽作業に活用するための研究も進める。建研の宮内博之上席研究員は「技術開発の進展次第では、(調査だけでなく)施工への活用もあり得る」と強調する。ただし、歩行の安定性や手作業の精度向上が必要なため、現状では工場内の単純作業が中心で、「実現場への適用は今後の課題」としている。
国土交通省は、民間が主体の建築分野だけでなく、土木分野のインフラ建設・管理でもフィジカルAIの開発・実証を急ぐ。i-Construction・インフラDXに関するコンソーシアムでは、複数の建設機械の連携で自動施工を目指すとの方向性が示されている。
