LCAを考える① 28年度からの新制度 省エネ適合の「次のステップ」

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まずは大規模建築物が制度の対象となる(写真はイメージ)

 建築物の脱炭素化に向け、2028年度から「建築物LCA制度」が始まろうとしている。建築物の計画から解体までに排出されるCO2を算定・評価する仕組みだ。国土交通省の宿本尚吾住宅局長は、25年4月に全ての新築建築物が対象となった省エネ基準の適合義務化に続く、「次のステップ」だと表現している。  LCAとは「Life Cycle Assessment」の略称で、材料調達から施工、供用中、最終的な解体に至るまでの、いわゆるライフサイクルカーボン(LCCO2)を評価する手法だ。  国交省は現在、全ての新築建築物に対して、断熱性能等級や1次エネルギー消費量等級で定める、省エネ性能への適合を求めている。こうした省エネ化の推進は、建築物の使用段階で発生する一部のCO2削減につながっている。ただ、現在は、建築物の資材製造や施工、維持保全、解体・撤去といった段階で発生するCO2に対しては、規制がない。政府が目指す50年のカーボンニュートラルに向けては、こうした段階での脱炭素化が強く求められている。  日本のCO2総排出量のうち、今は規制のない施工段階などで発生するCO2は約1割に相当する。LCAを実施することで、まずLCCO2の算定評価を実施し、将来的に建築物のライフサイクル全体で発生するCO2を削減するのが、今回の制度の趣旨だ。  28年度からLCAを実施する対象として、国交省は「延べ床面積5000平方㍍以上の大規模事務所の新築・増改築」を想定している。LCAを実施した建築主には、その結果を国交省へと届け出てもらう。当面は、幅広い建材や設備の使用が見込まれる大規模な事務所を対象とし、他の用途・規模にLCAを拡大するためのデータを蓄積する。  延べ2000平方㍍以上の非住宅建築物を新築・増改築する場合には、設計者から建築主に対し、LCAを実施する意義やLCCO2を減らすための工夫などを説明することも義務付ける。  国交省は28年度の制度開始後5年以内をめどに、LCAの対象用途や規模を拡充する。30~40年代にかけて順次、LCAの対象を拡大するなど、建築物に対する省エネ基準適合義務と同様、段階的に規制を強化する考えだ。  一方、LCAの実施には、適切にLCCO2を算定できていることが前提条件となる。適切な算定には、建材や設備の製造段階で排出されるCO2の原単位整備や人材確保が必要だ。すでに、全国生コンクリート工業組合連合会と全国生コンクリート協同組合連合会では、セメントの製造から工場や施工現場への輸送までに排出されるCO2の算定ルールを定めるなど、原単位整備に向けて動き始めている。  28年度の制度開始までの2年間で、LCAを確実に実施できる体制を整える必要がある。