富士どぼくらぶと富士宮商工会 官民連携による高校での年間出前授業プロジェクト

静岡
 建設業界においても人材不足は深刻な課題の一つに挙げられる。そんな状況を打開しようと、昨年4月から静岡県富士土木事務所、富士建設業協会と富士宮商工会議所の3者が連携し、静岡県立富岳館高校で月に1回程度計8回の講義や現地研修を展開した。同校の自由選択科目である「社会基盤工学」のカリキュラムの一環として実施されたこの取り組みは、授業を通して建設業の魅力を感じ取り、今年4月から地元建設業者に入職する生徒を生み出した。初めての取り組みにも関わらず早速、実績を上げたこのプロジェクトについて、これまでの経緯と今後の展望に焦点を当てる。  昨年1月、富士宮商工会議所は、富士土木事務所と富士建設業協会が実施した近隣高校での出前講座を見学し、「担い手不足解消に向けた良い事業だ。自分たちも行いたい」と考え、富士土木事務所と富士建設業協会に参加を申し入れた。その後、高校側と調整を行い、3者で年間を通じたカリキュラムの一つである「社会基盤工学」の「暮らしと社会基盤」「水資源」「暮らしとまちづくり」の項目について授業の一部を担当することになった。授業では、富士土木事務所、地元建設業者や建設コンサルタントなどの座学講習の他、近隣の災害現場の見学では「建設業がどのように復旧に携わったか」を学び、生徒たちに建設業の魅力を伝えた。  在校生の佐野蘭奈さんは福祉コースと畑違いにも関わらず、この取り組みを契機に建設業への入職を決めた。授業を通して、「建設業が人々の生活を支える重要な職業であることを理解した」とまちづくりを担う一員として、地域貢献したい思いから入職を決意したという。また「実際に現場で働く人と交流したのも大きい」と述べ、職業選択にあたり、今回の取り組みが計り知れない影響を与えた。  同校の島袋桜教諭は、生徒たちは思い描く“建設業”について、「『建設業=建物を建てる』と考えている生徒が大半であったが、授業を通じて『人々の生活を守る職業』だと認識するようになった」と建設業に対するイメージの変化を感じている。また多くの建設関係者と生徒が交流したことで、「校内では得ることができない社会人マナーや言葉遣い、コミュニケーション能力など、生徒たちによい刺激になった」と感謝の気持ちを示した。  取り組みの中心として取りまとめた富士土木事務所の鈴木康弘次長は、取り組み終了後に生徒を対象としたアンケート結果を分析して、「1年を通して、生徒たちの建設業に対する考えが大きく変化した」と一定の成果が得られたことについて、手ごたえを感じている。実際に生徒からは、『建設業がまちのインフラ整備、生活の密着した職業であることがわかった』『“3K”のイメージが強かったが、授業を通して払拭(ふっしょく)された』などの声が寄せられた。今後の展望について、「今回の3者のみならず、地元自治体や団体など、建設業の魅力を発信する仲間を増やしていきたい」と、組織のさらなる連携強化や拡大を目指す考えを示している。