中部農林 大久保沢地滑り対策委員会を開催 事業計画など検討
静岡
「大久保沢地滑り」の全景(提供/中部農林事務所)
静岡県中部農林事務所は2月9日、静岡県総合庁舎内で「2025年度大久保沢地滑り対策委員会」を開いた。学識者と県管理職員で構成された委員とオブザーバーの静岡市技術職員らが出席し、地滑り対策事業の現状報告や26年度以降の事業計画などについて話し合った。
開会あいさつで勝地孝則所長は同委員会結成の経緯に触れながら、「地滑り対策や治山事業に優れた見識を持つ皆さんの意見を取り入れ、今後の対策に生かしていきたい」と述べた。
委員長を務めた静岡大学学術院農学領域の今泉文寿教授は、「各自の見識を基に活発な意見交換を行い、有効な対策につなげていこう」と呼び掛けた。
議事では、同事務所治山課の職員が被災直後の状況や地滑り防止事業の実施状況について説明。調査測量などを担当した国土防災技術静岡支店(静岡市駿河区)の社員が、地滑りブロックの過去からの変化状況や地滑り発生要因の分析、26年度以降の対策工の方針などを発表した。
過年度に実施した現地踏査とボーリング調査の結果を基に、地滑りブロックを大きくA・B・Cの三つに区分してそれぞれの対策工を検討している。
このうちAブロックでは、地滑りの主体で滑動が活発的な箇所をA1ブロックと位置付け、その本体(中部域)に滞留して滑動の一因と予想される地下水を排除するために集水井工を行う。26~28年度にかけて6基整備する予定だが、このうち1基は3月に設計を委託する。残る5基は26年度に設計を実施し、同年度に1基、27年度に2基、28年度に3基を整備する。
A1ブロック頭部右岸側に位置するA4ブロックは点群データによる差分解析で最も活動的と診断されたため、26年度に調査ボーリング2孔を実施して実態を把握し、対策工の設計を行う。その後、26~27年度にかけて安定化対策として排土工とボーリング暗渠工を行う。また、A1ブロック右岸側支渓からの雨水・土砂流入対策として26年度に支流山腹工設計を行い、26~28年度にかけてボーリング暗渠工や導流柵を設置する。
この他、28~29年度にA1ブロック上部域安定化のための土留め工・水路工とボーリング暗渠工5群、巨石群が存在するA2ブロック(A1ブロック下部域)では28年度に巨岩調査と山腹工(巨岩対策含む)・渓間工設計、29~30年度に巨岩対策工・土留め工・水路工と渓間工、ボーリング暗渠工を実施する。A3ブロック(A1ブロック左岸側)では過年度に引き続いて動態観測を行い、必要に応じて追加対策を検討する。
B・CブロックはAブロックの滑動に関連した複数の地形崩壊や圧縮などが認められる。優先度の高いAブロックの対策を一通り実施した後に、動態を確認しながら必要に応じて調査や対策工を行う。
「大久保沢地滑り」は、23年8月22日に豪雨の影響で静岡市葵区諸子沢地内で発生。地滑り規模は、幅150㍍、斜面長さ500㍍、崩壊土量約12万立方㍍。今後の降雨などで再移動・拡大し、市道や人家に被害を与える恐れがあるため緊急で対策を実施している。
