深刻化する人口減少 インフラが〝最後の砦〟になる
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JR東日本は、千葉県内を走るJR久留里線の一部区間を来年4月に廃止することを決めた。国鉄を民営化した1987年以降、平均乗車人数が9割減少するなど、人口減少の影響が地域交通を直撃した。災害で被災した路線を除くと、JR東日本管内での路線廃止は初めてのことだという。
今年1月時点の人口推計(概算値)は、前年同月と比べ60万人減少した。外国人の人口が31・6万人増加していることを差し引くと、日本人の人口は1年間で93・5万人減少したことになる。人口減少は反転の兆しどころか加速し、あらゆる分野で従来通りのサービスを受けられない場面が増えている。
今、地域交通に限らず、あらゆるインフラの管理者には、人口減少と向き合うことが求められている。国土交通省も、社会資本整備審議会に「インフラマネジメント戦略小委員会」を立ち上げた。埼玉県八潮市の道路陥没事故を受け、インフラの老朽化と担い手不足に対応するため、財政面の課題や法的な課題を整理するのが目的だ。
八潮市の道路陥没事故は、事故に巻き込まれたトラックドライバーの尊い命を奪っただけでなく、近隣住民の生活環境を一変させた。予算が足りず、技術職員も決定的に不足している自治体任せにしては、こうした事故が再び起こる不安を払拭(ふっしょく)できない。
こうした実態を踏まえ、小委員会の初会合では、インフラ管理に対する国の関与を強化することが、今後の論点として示された。人口減少社会の到来は、かつて声高に叫ばれた地方分権を許してくれそうにない。広域でインフラを維持する管理者を国が強力に支援する必要がある。
自治体に対する財政支援も論点になる。物価上昇分ですら十分にカバーできない今の公共事業の予算規模では、この問題を抜本的に解決することはできない。新たな安定財源を確保することが、問題解決の近道であることは明らかだろう。
JR東日本が久留里線の一部廃線を決めたのも、バス路線をはじめとした自動車中心の交通体系への移行という選択肢があったからこそ。自動車交通を支える道路、災害から国民を守る治水事業、大規模地震が起きても避難できる公共建築物などのインフラは、人口が減り、過疎化が進んだ地域にとっても、国民を支え続ける最後の砦として機能し続けなければならない。
