「暫定税率」ナゼなくなった? 公共事業の財源が足りない
中央
このコーナーでは、ベテランたぬき記者の「ぽんせつ先生」が、知りたがりの九官鳥「キューメット」の質問に答えます(Q=キューメット、P=ぽんせつ先生)。
Q.ガソリンが安くなった気がする。
P.昨年12月末にガソリンの「暫定税率」が廃止され、2月9日時点のレギュラーガソリンの全国平均価格は155・5円と半年前と比べて1割程度下がりました。
Q.ガソリンの値段が下がったんじゃなくて、税金が下がったってこと?
P.そうです。もともと、ガソリン税は道路整備に使途を限定した道路特定財源とされていました。道路整備の財源が不足したことを理由に1974年に上乗せ分として導入されたのが暫定税率です。この暫定税率が、50年以上を経て昨年末に廃止されました。
Q.道路整備に使われる税金がなくなったら、予算が減っちゃうじゃない。
P.道路特定財源となっていたガソリン税は、すでに2009年度に道路整備に使途を限らない一般財源とされています。今回は、物価高騰対策として、納税の根拠があいまいになっていた暫定税率を廃止しました。
Q.なんで道路に使えなくなったの?
P.ガソリン税を財源とする道路特定財源制度ができたのは、1954年です。自動車で道路を走る利用者が財源を負担する受益者負担の考え方を採用しています。道路利用に応じて税金を負担する合理性・公平性ある仕組みだったと言えます。
ところが、道路の特定財源だったはずの財源を地下鉄整備などの財源に拡大したことに加え、2000年代の公共事業削減の流れの中で、09年度に制度が廃止されました。その後も一般財源としてガソリン税は残っていますが、上乗せ分の暫定税率のみが昨年末に廃止されたということです。
Q.老朽化とか、国土強靱化とか、物価上昇とか、道路整備の予算も足りないんでしょ。特定財源ってやっぱり必要なんじゃないの。
P.ガソリン税の根本にあった受益者負担という考え方は非常に合理性の高いものでしたが、今から道路特定財源を復活することはかなり難しいでしょうね。ただし、一般財源が不足する中で、インフラに充てる新しい財源は必要かもしれません。昨年6月にまとまった第1次国土強靱化実施中期計画には「財源確保方策の具体的な検討を開始する」との記載があります。政府としても問題意識はあるということでしょう。
Q.でも増税はやだな。
P.そうですね。税収で財源をつくるのであれば、納税者の痛税感を和らげる配慮や、納税の負担に対する納得感を得る必要もあります。インフラの老朽化や国土強靱化の必要性を広く社会に浸透させる必要があります。一方で、今の公共事業の課題は予算だけではありません。受発注者双方の人手不足の解消というさらに重い課題が突きつけられています。人手も含めて広く解決策を考える必要があるでしょうね。
