LCAを考える③ 直轄営繕、URが試行工事 東京都が誘導施策開始

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 2028年度の制度化を前にLCAの実施に必要な時間やコストの検証が進んでいる。国土交通省大臣官房官庁営繕部とUR都市機構では、2025年度から一部の新築建築物を対象にLCAを試行。東京都は、LCCO2の算定・削減を目指した誘導施策を開始した。28年度以降の本格的なLCAの開始を前に、各所で課題の抽出が進んでいる。  官庁営繕部は、青森県の八戸港湾合同庁舎(鉄筋コンクリート造4階建て延べ約2900平方㍍を想定)の新築工事を対象に、LCAを試行している。URは、25年度から設計に着手する2団地を対象に試行するとともに、図面データをはじめとする算定に必要なデータが保存されている既存団地でもLCCO2の算定を試みている。官庁営繕部とURはいずれも、算定と合わせてLCCO2の削減に向けた検討にも取り組んでいる。  LCCO2の算定には、住宅・建築SDGs推進センターと国交省が連携して整備した算定ツール「J-CAT」を活用。J-CATの活用により、構造や使用する部材に応じた、詳細なCO2排出量が計算できる。一方で、J-CATは完成間もない新しいツールであるため、「CO2排出量の計算にかかる時間や人員を検証し、実施に必要な費用を検証しなければならない」(官庁営繕部)という課題もある。  東京都では25年度から、延べ2000平方㍍以上の建築物を新築・増改築する建築主に環境配慮を求める「建築物環境計画書制度」で、アップフロントカーボン(建設時に排出されるCO2)の把握・削減を促している。都の環境審議会は、22年8月に「建設に関わる環境負荷の低減に向けて、新築・改修時に生じるCO2の削減を促すべき」と答申。アップフロントカーボンの把握・削減は、この答申を受けた取り組みだ。  東京都は、国交省が開始するLCA制度も考慮して段階的にこの制度を見直し、LCCO2の把握や削減へとシフトする考えを示している。  国交省は、LCAに取り組む建築物に対する支援制度も充実させる。LCCO2の算定実施を採択の要件とする考えだ。26年度からは、サステナブル建築物等先導事業(省CO2先導型)、既存建築物省エネ化推進事業、優良木造建築物等整備促進事業の3事業を対象に、LCCO2の算定を促す。延べ床面積2000平方㍍以上の建築物を整備する際に、これらの3事業を活用する場合には、算定を実施する必要がある。