南海トラフへの対策「10年間で完了を」 国土強靱化の有識者会議

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 内閣官房は2月19日、国土強靱化推進会議を開き=写真=、大規模災害に備えた防災対策への投資について有識者にヒアリングを行った。京都大学大学院の藤井聡教授は、「経済被害の軽減は、大規模な災害が発生するまでに対策を完了させられるか、スピードの勝負になる」とし、南海トラフ地震への防災対策を例に「今後10年間で対策を完了させるべき」と強調した。  藤井教授は19日の会合で、自らが座長を務める土木学会の「国土強靱化定量的脆弱性評価委員会」の議論の成果を共有。  南海トラフ地震発生後20年間で見込まれる経済被害額は1241兆円、首都直下地震では1063兆円と推計。こうした経済被害を軽減する道路網の整備や建物の耐震化に必要な事業費は、南海トラフ地震で58兆円以上、首都直下地震で21兆円以上とした。対策が完了すると、南海トラフ地震で396兆円(被害額の31・9%)、首都直下地震で410兆円(同38・5%)に相当する被害を減少させられるという。  一方で、現状の強靭化に関する予算規模ペースでは、「南海トラフ地震の対策完了までに24~50年以上かかる」と指摘。今後10年間で対策を完了させるためには、「少なくとも年間3・8兆円の投資が不足している」とした。  「追加予算を投じて対策を完了させれば、10年後に南海トラフ地震が発生しても、税収減や復興予算の増加などによる506兆円相当の被害が削減できる。対策が完了しなければ減災効果は発揮されない」と強調し、投資を加速する重要性を示した。  この他、内閣官房が国土強靱化に関する検討状況を報告した。強靱化の推進に当たっては、インフラ老朽化による災害耐力の低下や担い手不足による生産性向上が課題となるとし、この解決のためにインフラの点検・診断や建設機械に関する新技術の活用が不可欠とした。こうした新技術を実装するには、防災産業が成長できる環境が重要とし、技術の開発から商品化、実装・需要創出につながる国内の体制が必要と整理した。