四国の高規格道路 四国地方整備局 福本仁志道路部長に聞く

四国

福本仁志道路部長

 南海トラフ地震への備えが喫緊の課題となる中、四国の未来を支えるインフラ整備が着実に進んでいる。四国8の字ネットワークをはじめとする高規格道路は、防災・医療・物流・観光など、あらゆる分野を下支えする基盤だ。整備率は7割を超え、全線開通に向けて歩みを進める一方、未事業化区間や厳しい地形条件といった課題も残る。地域の声に向き合いながら、最優先事業として道路整備に取り組む思いと、その現状、そして今後の展望を四国地方整備局の福本仁志道路部長に聞いた。  ―四国8の字ネットワークをはじめとする高規格道路整備の意義と必要性について、また部長の思いをお聞かせください。  「四国では、南海トラフ地震への対応が急務。その中で、四国8の字ネットワークは必要不可欠なインフラであり、最優先で取り組まなければならない事業だと考えている」  「高規格道路は単に移動時間を短縮するだけでなく、防災、地域の活性化、経済、観光、医療など、あらゆる分野に波及効果をもたらす。災害時に人や物資を確実に運ぶためにも、平時の暮らしを支えるためにも、その役割は非常に大きいと感じている」  ―四国8の字ネットワークの現在の整備状況と、今後の見通しを教えてください。  「直近では、3月8日に徳島南部自動車道の小松島南ICから阿南ICまでの3・2キロ区間が開通した。四国8の字ネットワークは計画延長約800キロに対し、開通済みは611キロとなり、整備率は76%まで進んでいる」  「現在、四国地方整備局が道路改築に投じる予算の7割以上を、この8の字ネットワーク整備に充てている」  「今後については、今治道路の今治湯ノ浦ICから今治朝倉ICまでの5・7キロ区間が、2026年度に開通予定となっている」  「一方、24年度に事業化された区間については、調査や設計、測量を進め、必要な用地幅の確定作業を行っている段階だ。すでに工事が進んでいる区間と、これから準備を進める区間とで、整備状況にはどうしても濃淡がある」  「高知県では、南国安芸道路と安芸道路の整備を重点的に進めている。安芸トンネルや主要橋梁の上部工については入札も完了した。この区間は国道55号と並行しているため、地元の人たちにも「着実に道路ができている」という実感を持っていただけているのではないだろうか」  「一方、高知県西部で建設を進めている高規格道路は、国道56号の現道からやや離れた場所にあり、地形も厳しく長大トンネルが多いのが特徴。そのため進捗が見えにくい面もあるが、地元の皆さまのご協力を得ながら工事用道路を整備し、現場に入る準備を着実に進めている」  「海部野根道路では海部IC周辺や東洋町で工事が始まった。野根安倉道路では、延長約5キロのトンネルを直轄代行で施工する」  「また、徳島南部自動車道の小松島南ICから徳島津田IC間では、徳島津田IC付近で大規模な橋梁工事を実施している。一部トンネル区間では地質に不安定な箇所が確認され、発注に至っていない部分もあるが、それ以外の区間についてはおおむね発注を終え、桑野道路、福井道路へと全面的に展開している」  ―まだ事業化されていない路線について、現状を教えてください。  「四国8の字ネットワークでは、徳島県内の一部区間が未事業化となっている。牟岐から海部間については都市計画決定が完了しており、地元と一体となって事業化を要望しているところだ」  「また、美波から牟岐間では計画段階評価の段階にあり、道路計画検討のためのアンケート調査を実施した。現在はその結果を分析している状況だ。こうした手続きを一つ一つ着実に進め、最終的に事業化しなければ、8の字ネットワークは完成しない」  ―四国8の字ネットワーク以外の高規格道路整備についてはいかがでしょうか。  「高松環状道路については、計画段階評価はすでに終了し、現在は環境影響評価に入るため、香川県と最終的な調整を進めている。高知松山自動車道の「いの~越知」区間では計画段階評価を終え、高知県が都市計画決定に向けた手続きを行っている。松山環状道路では、現在工事中の区間の先となる吉田~平田間で、約1年前から計画段階評価に着手し、アンケート実施に向けた準備を進めている」  ―地域から寄せられる意見や要望を、どのように受け止めていますか。  「地域ごとに抱えている課題があり、話を聞くと「まさにその通りだ」と感じることばかりだ。私たちも一刻も早く事業を進めたいという思いは同じ。だからこそ、地域の要望に応えられるよう、必要な予算を確保し、着実に事業を進めていきたいと考えている」  ―高規格道路整備には、地域の建設会社も深く関わっています。  「どの建設会社も人手不足に悩んでいると聞いている。南海トラフ地震の発生後、復旧・復興に対応するためにも、地域に建設会社が存続していることが極めて重要となる。四国地整としては、インフラを整備するだけでなく、地域の建設会社が持続可能となるような発注のあり方についても、しっかり考えていかなければならないと感じている」