労務単価14年連続上昇 将来見据え、政策的判断を

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 3月から適用される公共工事設計労務単価は、全国全職種平均で前年度比4・5%増の2万5834円(伸び率は単純平均、金額は加重平均)となり、14年連続で上昇した。単価が上昇を始めた2012年度と比べるとほぼ倍増したことになる。  今回の単価の伸び率が高いのか、低いのか、業界側の評価は分かれる。元請け、下請け、技能者、それぞれの立場でも評価は異なるだろう。  昨年10月の公共事業労務費調査には、8・5万人以上の技能者が賃金実態を報告した。労働市場の実勢価格を予定価格に反映する、という労務単価の原則は大きく変わっていない。  ただ、業界からは「担い手確保も見据え、労務単価の在り方を考えてほしい」という意見が聞かれた。以前から「政策的に実勢価格を上回る労務単価を設定するべきだ」という声は根強い。  政策的に労務単価を引き上げるとは、どのような意味なのか。労務単価の上昇が始まった13年4月の改定では、法定福利費の労働者負担分を上乗せし、全国全職種平均の単価が15・1%上昇した。当時の社会保険加入率(労働者単位)は58%に過ぎず、加入・未加入を問わずに法定福利費を支払うようにした単価が「実勢価格」を反映したものとは言えない。  国土交通省が、まずは公共工事で社会保険加入の原資を支払う、という姿勢を示したためだ。  21年3月の新型コロナウイルス感染症に伴う特別措置も、政策的な判断の一つと言える。このときの調査では、コロナ禍で先行き不透明感が高まったことを背景に、2000以上ある単価の42%が前年度を下回った。これらマイナスの単価を前年度と同額に据え置き、全国全職種平均の単価は1・2%増とかろうじて上昇基調を保った。  改正建設業法の労務費の基準では、労務単価が請負契約で確保されるべき「適正な労務費」の基礎と位置付けられ、労務単価の影響が民間工事にも及ぶようになった。これも政策的な判断の一つと言えるだろう。  労務単価は、必ずしも自律的に14年連続で上昇してきたわけではない。政策的な判断が、賃金上昇の起点になり、賃上げを再加速させた。深刻な人手不足で働き手一人ひとりの価値はこの先さらに高まるのは確実だ。建設産業が担い手を確保でき、持続可能な産業であり続けるためには、将来を見越した対応も必要ではないだろうか。