解体工事業者の実態把握 不適切な安全対策事例調査

中央
 国土交通省は、公衆災害や外国人労働者を巡る社会的な不安を踏まえ、解体工事業の実態調査に乗り出す。建設業団体を通じて調査が可能な建設業許可業者だけでなく、建設リサイクル法に基づく登録を受けた小規模な事業者にも焦点を当てる。技能者の賃金や安全対策コストを抑えて施工するような不適切な事例がないかを確認し、対策の必要性を判断する。  解体工事を営む事業者のうち、建設業許可を受けているのは約6万6000者。この他、建リ法に基づき都道府県知事の登録を受け、請負金額が1件500万円未満の解体工事のみを請け負っている登録業者が約1万9000者いる。  解体工事を巡っては、不十分な対策により周辺に騒音や振動、粉じんの飛散といった公衆災害が発生したり、外国人労働者と近隣住民とのコミュニケーショントラブルが生じることへの懸念の声が国交省に寄せられていた。  イメージや不安が先行する中、国交省はまず、改めて解体工事の実態を把握し、どのような課題が生じているかを調べた上で対応策を検討する。主な調査項目は、解体工事業者の企業規模や請け負う工事の規模、技術者・技能者の賃金、施工状況などを想定している。  その上で、事業者の実態と工事事故などの問題事例との関係を把握。解体工事業における建設リサイクル施策を中心に改善点・課題を整理し、対策を検討する。  これまで地方自治体などに予備的に行ったヒアリングでは、関東エリアで問題のある事例が見られた。今回の調査そのものは全国的に実施し、課題の所在を明確化する。調査結果は今年9月末に報告書としてまとめる。結果を踏まえ、建リ法の見直しなど制度的な対応の必要生を考える。  国交省は今回の実態調査の他、厚生労働省の労働基準監督署や都道府県の環境部局と毎年10月に建リ法に基づく解体工事現場の一斉合同パトロールを実施している。2025年度はパトロールに先立ち、建設工事の公衆災害防止対策要綱を改めて都道府県に周知。不適切な施工に対する積極的な指導を呼び掛けた。  また、今年2月には特定技能制度に関する下請指導ガイドラインを改正。特定技能だけでなく幅広く外国人が就労する現場を対象に位置付け、元請けに対して不適正な在留資格の外国人の排除や、騒音・振動といった公衆災害の防止を求める通知を行った。適正な在留資格の外国人と地域社会との共生に関する優良事例も示した。