県土整備局河港課塚本健介課長インタビュー 気候変動にも対応

神奈川

県土整備局河川下水道部河港課・塚本課長

 自然災害の脅威が増す中、治水の優先度は高まり続けている。神奈川県は3年ぶりに「神奈川県水防災戦略」を改定し、頻発する豪雨災害や能登半島の地震・豪雨の二重災害の事例も踏まえ、対策を強化する。県土整備局河川下水道部河港課の塚本健介課長に、神奈川県の治水対策について聞いた。  ―3月には「神奈川県水防戦略」が改定される。  「県内は川沿いに多くの人家が広がっており、拡幅が困難な中小河川が多い。限られた地区の整備でも下流部への治水効果が高い遊水地の整備を水防災戦略に位置付け、重点的に進めている」  ―気候変動によって降雨量が増加しているが、河川整備基本方針や整備計画は今後どのように見直すのか。  「気候変動へ対応するためには、過去の降雨量を基に策定した治水計画を、将来の降雨量の増加を踏まえて見直す必要がある。現在は帷子川や大岡川などで降雨量の検証を行っており、降雨量増加の影響を調査中だ」  ―2024年8月の台風10号では、県内にも大きな被害が出た。  「平塚市の河内川や二宮町の葛川が氾濫し、浸水被害が発生した。これらの地域では、流域治水協議会の下に新たに浸水被害対策検討部会を設置し、緊急的な対策について集中的に議論を進めてきた。葛川では、25年度から氾濫が発生した区間の暫定的な整備に着手。二宮町では雨水貯留タンクへの補助制度を新たに創設した。今後は、こうした好事例を被災地域以外の流域治水の関係者でも共有して、取り組みを促していきたい」  ―台風10号では護岸崩落などの被害も発生したが、復旧状況はどうか。  「県内8河川11カ所で国の災害復旧事業の採択を受け、多くの箇所で復旧が完了した。採択に当たっては、自治体職員が災害査定を受けることになる。担当職員は平時より神奈川県都市整備技術センターが開催する災害査定に関する研修などを受講することでスキルアップが図られており、このことが功を奏し、円滑な復旧につながっている」  ―地域の守り手となる建設業界に期待することは。  「護岸や堤防に被害があった場合、速やかな応急復旧で当面の安全度を確保することが何よりも重要だが、その際頼りになるのが地域に精通している建設事業者だ。24年の台風10号の被害の際も、各地区の建設事業者により献身的に対応してもらった。この場を借りて感謝したい。今後とも、地域の守り手として気概を持って取り組んでほしい」