技能者の教育訓練体制整備 業界全体で支える議論開始

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 建設技能者の教育訓練を建設業界全体で支える仕組みを整備するため、学識者と建設業団体、職業訓練法人で構成する「新たな教育訓練体系構築検討会」が発足し、3月5日に東京都内で初会合が開かれた。現場でのOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)が中心の現状を脱するため、職種や経験に応じた体系的なカリキュラムの提供や、教育に応じた技能者の評価、全国の教育訓練実施機関への支援について議論し、4月から順次、事業を展開する。  座長に就いた蟹澤宏剛芝浦工業大学教授は、職業別の能力評価基準と連動した教育訓練、賃金水準の制度が整備されたオーストラリアを例に挙げ、「日本の建設業には建設キャリアアップシステム(CCUS)に基づく能力評価基準がある。これを活用しない手はない」と強調。他の先進諸国では、新規入職者が一人前になるまでは個社の負担とせず、業界全体で支える仕組みがあるとし、「日本にも必要だ」と訴えた。  検討会は、建設産業人材確保・育成推進協議会(人材協、事務局・建設業振興基金)に設置する。メンバーは日本建設業連合会や全国建設業協会、建設産業専門団体連合会といった建設業団体、職業訓練法人の富士教育訓練センターなど。外国人材育成の観点から、建設技能人材機構も参加する。国土交通省・厚生労働省もオブザーバーとなる。  元請け・下請けを問わず、業界全体で教育訓練を支える仕組みを構築する。持続的な体制とするため、財源確保策も検討テーマとする。雇用保険制度による現行の能力開発事業を補完する。  建設業の大半を占める中小企業で、OJT以外に企業内訓練校などを設ける例はごく限られる。認定訓練校を通じた教育訓練の重要性が増す中、こうした機関への支援の在り方も課題となる。  検討会では、こうした教育訓練を業界全体で支える事務局体制、国の制度上の位置付けなどを検討する。「中核的機能」として職種や段階に応じたカリキュラム整備、教材の作成、講師の養成、資格制度の整備などを想定。合わせて、「教育訓練実施機能」として全国的な訓練実施機関の確保に向けた支援体制を整備する。訓練実施機関への支援として、対象経費や金額、期間などについても検討する必要がある。  一連の取り組みを通じ、自社の技能者の育成に取り組む企業が評価される仕組みや、教育訓練を受けた技能者が労働市場で評価される環境を整える。セーフティネットの整備に留意し、技能者を流動化する仕組みづくりも視野に入れる。  検討会の開始に当たり、国交省の楠田幹人不動産・建設経済局長は、「技能を身につけられ、そして技能に応じた高い処遇が受けられるようにし、若い人が入りたいと思えるような建設業界にしたい」と述べた。