関東地整 2ダムの予定地活用へ調査 利根川水系の治水対策、事業費約4400億~6600億円

東京

可能性を検討したダムのうち、赤枠のダムを先行して調査する

 国土交通省関東地方整備局は利根川水系の治水対策で、過去に事業を中止した戸倉ダム(群馬県片品村)と倉渕ダム(群馬県高崎市)の予定地を活用してダムを建設するための調査を始める予定だ。利根川・江戸川河川整備計画(2025年3月策定)に掲げる洪水調節目標流量の達成に向け、中止ダム予定地を活用した複数のダム建設と既存ダムの嵩上げを実施していく。これらにかかる事業費を4400億~6600億円と想定。3月16日の関係都県会議に示して承認を得た。18日に開く検討委員会で正式決定する見込み。  治水対策のうち中止ダムの予定地活用を巡っては、11~23年前に事業が中止となった六つのダムを対象に可能性を検討。その中で戸倉ダムと倉渕ダムの二つは中止のタイミングで事業が一定程度進捗しており、ダムを建設する場合の工期が比較的短いことを確認したため優先的に調査を始める。  戸倉ダム(03年度中止)は中止時点の有効容量が約8700万立方㍍、整備計画目標流量の調節に必要な治水容量が約1100万立方㍍で、おおむねの工期を15年、コストを約2000億円と試算した。約2割の用地買収を終え、残りの用地は東京電力が所有している。1月13日に地元の自治体などで構成する「戸倉ダム建設促進期成同盟会」から事業再開を求める要望書が提出された。  また、倉渕ダム(03年度休止、15年度中止)は有効容量が約1080万立方㍍、治水容量が約600万立方㍍で、おおむねの工期を10年、コストを約500億円と試算。用地買収と付け替え道路の整備が完了している。  一方、既存ダムの嵩上げは薗原ダム(群馬県沼田市、1966年完成)と下久保ダム(群馬県藤岡市~埼玉県神川町、69年完成)の2カ所で可能性を探った。このうち下久保ダムは周辺の地滑りが多いことから、薗原ダムを有力候補とした。嵩上げに要する工期は約20年、コストは約1400億円を見込んだ。  いずれも事業実施時の基礎データで検討したため、▽地形、地質データ(測量データの確認や第四紀断層調査など)▽計画地周辺の土地利用状況の変化▽最新の技術基準との整合性―などのさらなる調査・確認を実施して実現性を見極める。中止ダムの予定地を活用したダム建設は最終的に2カ所程度に絞り込む方針だ。  事業化に当たっては河川整備計画を変更して個別ダム事業の建設を明記。新規事業採択時評価を経て、建設段階に移行させることになる。