時間外労働規制の緩和 労使、有識者の議論は平行線 労政審分科会

中央
 厚生労働省は3月13日、労働政策審議会の労働条件分科会を開き、3月5日に公表した「働き方改革関連法施行後5年の総点検」の結果について有識者に意見を求めた。上限規制は現状維持が妥当とする意見が多かった一方で、もっと働きたいと考える労働者に対応できる仕組みを検討することや、裁量労働制の見直しについては、使用者側と労働者側との間で議論が平行線となっている。  働き方改革関連法施行後5年の総点検は、労働者や企業に対して、現在の労働時間について調査。建設業では労働時間を「増やしたい」との回答が全体の7・3%にとどまった。  労働者代表となる日本労働組合総連合会(連合)の冨髙裕子副事務局長は、総点検の結果について「労働時間を増やしたいと回答した労働者も1割いるが、その多くは、短時間労働者だった。時間外労働の規制緩和が必要ないことを裏付ける結果になったのではないか」と時間外労働規制を緩和する必要性を否定した。  全日本運輸産業労働組合連合会の亀田幸雄中央副執行委員長は、「建設業では著しく短い工期に対応するために労働時間を増やしたいとする意見があるようだ。上限規制を緩和するのではなく、適正な工期設定や取引の適正化を優先すべきではないか」と述べた。  一方、全国中小企業団体中央会の佐久間一浩事務局次長は、「労働時間を増やしたいと考える労働者が一定程度いることは事実。健康確保や労使の十分なコミュニケーションを前提に、労働者本人の意向を尊重できる仕組みの構築が必要だ」と、労働者が希望することを前提に時間外労働規制を緩和することに賛成した。  泰斗工研の鳥澤加津志代表取締役は、「建設業の中小企業などでは、売上の減少を余儀なくされているケースもある。重点的な支援体制を強化するとともに、健康確保と労使合意を前提とした上限規制の例外措置や、変形労働時間制の運用を見直しが求められる」と述べた。  また、裁量労働制についても議論が及んだ。トヨタ自動車人事部の加藤吏グループ長は、「裁量労働制を導入しているが、労働者からは肯定的な意見が多い。労働者に多様な働き方の選択肢を整備することが重要だ」と強調した。  これに対し、東京大学大学院法学政治学研究科の神吉知郁子教授は、「総点検の結果で、労働時間を増やしたいと回答した労働者の約4割は、収入面での課題を理由に挙げている。裁量労働制では、賃金を増やすというニーズには応えられない。裁量労働制の拡充でなければならない理由を議論すべき」と指摘した。  労働条件分科会では、11日に政府が開いた労働市場改革分科会と並行して労働時間について議論する。