広がる価格高騰への不安 価格転嫁ルール、適正な運用を

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 中東情勢の悪化により、原油の価格高騰と安定供給に対する懸念が広がっている。ホルムズ海峡の事実上の封鎖が続けば、原油の供給が抑制され、石油製品の価格も上昇する。資材価格のさらなる上昇は、ようやく改善に向かってきた建設業の業績を再び下押しする。  2021年ごろから始まった世界的な原材料価格の上昇と品薄にロシアのウクライナ侵攻が追い打ちをかけ、資材価格は現在も上昇局面にある。建設物価調査会の建設資材物価指数を見ても、資材価格は10年前と比べて40%以上上昇している。  この間の価格上昇は建設業の利益を圧迫した。工期が長期間にわたり、価格上昇の影響を受けやすい構造であるにも関わらず、建設工事では受発注者間で契約変更が行われにくい。そのために、価格上昇は、労務費へのしわ寄せを招き、技能者の処遇を低下させる。  こうした悪循環を断ち切るため、改正建設業法では、価格高騰時の請負代金の変更方法を契約書の法定記載事項として明確化。受注者が事前に価格高騰の「おそれ情報」を通知すれば、注文者が誠実に協議に応じる努力義務を課し、価格上昇分を円滑に転嫁できるようにした。  この変更協議の円滑化ルールは24年12月に運用が始まり、翌25年12月には民間・公共工事の標準請負契約約款も改正された。このルールが適正に機能すれば、さらなる価格上昇への不安を解消することにもつながる。  ただ、法施行から1年余りがたったにも関わらず、本来は率先して改正法を順守すべき公共発注者でさえ、このルールを運用していない実態が明らかになっている。  国土交通省・財務省・総務省の調査(25年6月時点)に対し、主要資材の供給量減少や変更協議の円滑化ルールについて「特に取り組みなし」と回答した市区町村は全体の69・6%に上った。  公共工事では、すでに公共約款で契約変更方法としてスライド条項を規定している。とは言え、改正入札契約適正化法では、受注者から変更協議の求めがあった際、誠実に協議に応じる「義務」を課している。民間工事では、あくまで「努力義務」であり、公共発注者の責任は重い。  中東情勢の悪化により、価格上昇の先行きが不透明である今、価格転嫁の重要性はさらに高まっている。建設業法改正で整った価格転嫁のルールを適正に運用するよう、まずは公共発注者に求めたい。