労務費基準の実効性確保 賃金の支払実態を新規調査
中央
国土交通省は、改正建設業法で整備した「労務費の基準」の運用状況のフォローアップ方針を決めた。改正法に基づく新たな取引ルールの定着状況や、労務費を賃金として技能者に行き渡らせる際のボトルネック、実際の賃金の支払い状況を把握するための実態調査を2026年度から開始する。3月26日に開いた中央建設業審議会のワーキンググループで提示した。
改正法では、適正な労務費の基準を定め、基準を著しく下回るような見積もり・契約を禁止した。労務費など必要経費を内訳明示した見積書作成の努力義務を建設業者に課すとともに、発注者に見積書の尊重を求める新たな取引ルールを規定。昨年12月の全面施行後、労務費や賃金の支払い状況が実際にどれほど変わったか調べ、年1回程度ワーキンググループに報告することにした。
新規に実施する調査のうち、労務費の基準の実際の取引への反映状況を把握する実態調査では、具体的な「基準値」を定めた職種分野を対象として、標準的な仕様・作業で行った工事の単位施工量当たりの見積額をアンケート形式で調べる。基準値の活用状況や、取引の中で確保した労務費を確認する。
労務費の行き渡りを妨げるボトルネックを把握するための調査も予定。公共・民間や土木・建築など工事の類型に応じて数件の工事を抽出し、発注者から元請け、下請け、技能者まで労務費確保・賃金支払いの状況をヒアリングする。
法施行に合わせて改定した建設キャリアアップシステム(CCUS)レベル別年収の確保に向け、賃金台帳や出勤状況、CCUS能力評価の状況把握とヒアリング調査も実施する。
いずれの調査も、技能者のさらなる処遇改善に向けた課題把握を目的としたもの。法令に基づく取り締まりや指導などには活用しない。
26日の会議では、技能者から賃金に関する通報を受け付けるシステムの検討状況も報告した。寄せられた情報は、建設Gメンの指導の要否を判断する際、参考にする。CCUSと連携し、レベル別年収と照合することなどを検討する。27年度に予定していた試行運用を前倒しし、26年度に開始する方針だ。
職種分野別に設ける労務費の基準値は、新たに▽計装▽塗装▽内装▽とび・土工▽板金・屋根ふき▽解体▽防水▽さく岩▽タイル・サッシ・ガラス▽エクステリア▽上下水道―の11職種を対象に35工種の案を提示。25年12月公表分と合わせると、22職種134工種となる。
