「適正な利潤」って何%? 価格転嫁も発注者の責務

中央

不動産業や製造業と比べ、建設業の利益率は依然として低い

このコーナーでは、ベテランたぬき記者の「ぽんせつ先生」が、知りたがりの九官鳥「キューメット」の質問に答えます(Q=キューメット、P=ぽんせつ先生)。 Q.ガソリンがまた高くなったじゃない。 P.昨年末に暫定税率が廃止され、ガソリン価格はいったん下がりましたが、中東情勢の悪化に伴う世界的な原油価格の上昇により、再び上昇に転じています。アスファルト合材をはじめ、原油を主原料とする建設資材の価格上昇が懸念されています。 Q.また物価が上がるのか…。建設会社も物価が上がると苦しいんじゃないの?。 P.急激に価格が上昇すれば、利益が削られることになるでしょうが、発注者が価格転嫁を認めてくれれば、そうした事態を回避することができます。特に公共工事の発注者は、受注者の「適正な利潤」に配慮する必要があります。価格上昇に適切に対応することも、発注者の責務とされています。 Q.適正な利潤?適正ってナニ?利益率が何%だったら適正なのよ。 P.品確法では、公共工事の発注者に対し、受注者が適正な利潤を確保できるよう、適切な設計と仕様書に基づき、労務・資材の市場での取引価格を踏まえて予定価格を定めることを求めています。受注者が適正な利潤を上げ、従業員に適正な給与を支払えるようにすることが目的です。建設産業全体が担い手を確保できるようにしよう、という品確法の理念に沿った条文です。 Q.適正、適正って言ったって発注者もどうすればいいか分からないじゃない。 P.確かにそうですね。ただ、大半の産業では、生産にかかった原価に利益を上乗せして売値を決めますが、公共工事では、生産者である建設業が売値を決められません。発注者が積算する予定価格を超える金額での落札は、「予定価格の上限拘束性」があるため、原則として認められません。このため、利益率の極端に低い工事を受注してしまったり、落札者が決まらない不調・不落といった困った問題が起きてしまいます。 Q.発注者が受注者の利益をコントロールできるってこと? P.その通りです。公共事業費が削減され、競争が激化していた2000年代は、利益率の低い工事であっても受注せざるを得ませんでした。そのことが従業員の給与を低下させ、今の担い手不足を招くことになりました。こうした背景を踏まえ、2014年の改正で品確法に盛り込まれたのが「適正な利潤の確保」という考え方です。 Q.ナルホド。じゃあ、原油価格が上がっても公共工事では心配ないね。 P.そうだといいのですが、簡単ではないでしょうね。公共発注者にとって予算の制約は大きな課題です。とは言え、公共発注者が価格転嫁に応じないことは本来あってはならないことです。品確法の発注者の責務を忘れず、物価上昇に備えてもらいたいですね。