開発最前線 デベロッパーの戦略 ⑧東急不動産

東京

「マンションの『未来資産』化を目指す」と語る鮫島氏

 1918年に渋沢栄一らによって設立し、日本初の田園都市計画に基づき多摩川台住宅地(現・田園調布)を販売した「田園都市株式会社」を前身とする東急不動産。これまで渋谷・代官山を中心に、鉄道系不動産企業の強みを生かして各沿線で開発を進めてきた。半世紀にわたり人々に寄り添った住まいを提供してきたマンション事業では、より持続可能な品質を兼ね備えた分譲マンション「BRANZ(ブランズ)」を全国で展開する。今後の戦略について、住宅事業ユニット上席執行役員本部長の鮫島泰洋氏に聞いた。  ―ブランズの特徴や強みは何か。  「これまでは『環境先進』マンションをセールスポイントにしてきたが、今後は居住者に寄り添うことで、マンション自体の価値を高める『未来資産』につなげたい。環境先進は、性能を強化したGXZEH基準を標準化し、数年後の実用化を見据えたペロブスカイト太陽電池の導入などにより、住宅の省エネルギー化を実現させる。居住者には、日頃の声から暮らしやすさを追求することはもちろん、有名シェフを招いた食事体験や農業体験など、家族構成に沿った“楽しく暮らす”機会を提供し、顧客満足度を高めつつ維持させることで、次世代に受け継がれるマンションを目指す」  ―今後展開するブランズは。  「現在、2027年に完成予定のみなとみらい線馬車道駅徒歩2分の『ブランズタワー横浜北仲』(704戸)、大崎駅徒歩5分の『ブランズタワー大崎』(389戸)をはじめ、泉岳寺や白金高輪、三番町、神奈川県内の中央林間などがある。今後、首都圏では『渋谷ホームズ』跡地、港北ニュータウン内の『ハウスクエア横浜』跡地、西日暮里駅前で計画が進行する」  「商業施設やタワーマンションなどの複合的な開発の場合、駅に直結する好立地なケースも多く、通勤への負担を軽減したいワーカー層から注目を集められる。今後もこうした大規模開発を軸に据え、札幌、名古屋、関西エリア(大阪・京都・兵庫・滋賀)にも供給する方針だ」  ―注目するエリアを教えてほしい。  「都心の中心エリアは価格高騰で富裕層向けになりつつある。その中で、城北・城東地区に注目している。一般層にも手が届くようなマンションを提供したい」  ―供給戸数の見通しは。  「札幌や名古屋、関西エリアを含めて毎年1000戸程度を継続的に供給していく。これからもベースとなる再開発は約10年間、その他の物件でも約5年間を事業期間の目安として、供給数の維持に努めたい」  ―その他にPRしたいことはあるか。  「23年にオープンした商業施設とオフィス、賃貸マンションの複合施設『フォレストゲート代官山』は、東京タワーが望める共用部にバーベキューコーナーを設け、入居者から大変好評をいただいている。今後も“楽しく暮らす”をコンセプトに、入居者の暮らしが豊かになるマンションを提供していく」