月給制転換、企業統合後押し 「経営力」評価へ経審見直しも 国交省勉強会が提言

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 国土交通省の「今後の建設業政策のあり方に関する勉強会」が、あるべき建設業の姿や必要な政策の方向性を提言した。重層下請構造をはじめ、建設業の残された課題を整理し、専門工事業の月給制への転換や技術者制度の見直し、地域建設業の企業統合の後押しといった対応策を例示。人材や生産性、経営力に優れた企業が評価を得られるよう、経営事項審査制度の評価項目見直しや、民間工事での活用検討も提言した。  有識者勉強会は2025年7月に設置した。第3次担い手3法の全面施行を経てなお残された課題として、重層下請構造や口頭契約などの慣行、日給制・厳しい勤務環境などを列挙。人口減少に伴う人手不足が前提の時代に備えた「次元の異なる対応」を求めた。  今後の政策として、技能者については引き続き労務費確保、賃上げを最重点とする。その上で月給制を「業界の新たな当たり前とする覚悟」の下、支援策や課題の特定が必要とした。建設業退職金共済制度の充実や建設キャリアアップシステム(CCUS)の活用徹底も盛り込んだ。  限りある人材に最大限活躍してもらうため、始業時間の柔軟化や変形労働時間制度の検討、導入に向けた支援も求めた。技能者を念頭に「労働力の融通」にも触れ、関係者間での検討を加速するべきとした。  技術者制度の再構築も必要とした。元請け技術者や専門工事業が「チーム力」を発揮して適正施工を確保するという観点から、技術者配置の最適化などの方向性を示した。  地域建設業の「経営力」強化も柱の一つとした。中小零細に対しては、賃上げの前提となる社内規則や人事評価の整備に向けた情報を発信。個社の経営判断に関わる課題だが、行政や業界団体による支援体制の構築が重要になるとした。  特に地域建設業については、企業統合による生産性向上・教育訓練の余力確保が有効だとし、支障となる制度があれば見直す。小規模な事業者を中心に倒産・廃業が増加していることを受け、必要に応じて事業承継を支援する体制づくりも検討事項に挙げた。  重層下請構造は、雇用をリスクとみて外注を多用する個社の経営判断の積み重ねで生じていると分析。規制的な手法だけでなく、インセンティブ設定や働き方の多様化といった選択肢も視野に政策を考える。  資機材価格の高騰への対応では、コストプラスフィー契約の活用検討も求めた。大規模プロジェクトを手掛ける受発注者間で意見交換の場を設ける必要性にも触れ、行政の参画を促した。  企業の経営力強化に向け、経営事項審査制度や建設業許可といった、企業評価の仕組みの活用も求めた。経審については処遇改善の取り組みや従業員教育、DX、技術者の能力といった評価項目の追加を例示。現在は公共工事の元請けのみを対象としているが、民間工事や専門工事業での活用拡大も考えるべきとした。  勉強会の成果の具体化に向け、当事者である建設業界を交えたさらなる検討を提言した。