中東情勢で資材供給不安 マンション修繕は着工中止も

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 中東情勢の悪化による原油輸送の不安定化の影響が、建設工事で顕在化しつつある。代表的な石油化学製品である塗料や希釈用シンナーを巡っては、大手メーカーが出荷統制と大幅値上げを表明。外壁塗装や屋上防水が大きな割合を占めるマンションの大規模修繕では、既に契約後の着工延期や事業者公募の取りやめが発生している。  原油輸入の要衝であるホルムズ海峡の事実上の封鎖により、国内では塗料やシンナー、塩ビ管、養生材、アスファルト合材など幅広い建材の供給が不安定化している。関西ペイントはシンナー製品について前年度並みの出荷実績を上限とする出荷統制を表明し、13日以降の出荷分については現行価格から50%以上引き上げるとした。  マンションの大規模修繕で設計監理を手掛ける企業の担当者は、現状を「軽いパニック状態」と話す。大規模修繕の原資は管理組合の積立金であり、予算の上限が定まっている。将来的な値上がりや納期遅延といったコストアップ要因が想定されると、発注者は契約に慎重にならざるを得ない。  前述の担当者は、このまま原油の輸入が滞ると、今年度の後半の工事は「軒並みストップになる」と指摘する。既に契約している工事では、施工内容が予算の範囲に収まるよう、最低限の内容に見直すといった対処も検討している。  施工会社の中で特に影響が深刻なのが、問屋との交渉力に乏しい中小零細の事業者だ。一人親方ら末端の技能者は日当で働いているだけに、手元の材料不足で施工できないと資金的に追い詰められやすい。  東京商工リサーチは4日、25年度の塗装工事業の倒産が過去20年間で最多だったとの調査結果を公表。塗料の高騰で26年度にさらなる増加が見込まれるとした。今後、供給不安が長期化すると、中東情勢が好転し、塗料やシンナーの流通が回復したとしても、個人事業者らの廃業や人手不足の深刻化の懸念が高まる。  世界的な木材価格の上昇(ウッド・ショック)が発生した21年と異なり、現在は改正建設業法に基づく価格転嫁の円滑化ルールが整備されている。国土交通省は3月31日付で、官民の発注者に対して建設業法・品確法など第3次担い手3法の趣旨を踏まえた適正な価格転嫁を要請した。  国交省は、燃料油や石油製品の供給に関する相談窓口を開設し、流通状況や契約状況の把握を急ぐ。実際には国内に在庫があっても、手持ちを積み増そうとする事業者の動きで市場から製品が払底する恐れもある。政府は、在庫が事業者にまで着実に届くよう、流通の目詰まりの解消に注力する。  ウッドショックと異なり、中東情勢の悪化の影響は幅広い産業・製品に及ぶ。流通の改善や代替的な供給網の構築に加え、苦境にある中小事業者への資金繰り支援も求められる。