「メンテナンスを利益のコアに」 首藤勉氏(IHIパーキングスクエア代表取締役社長)
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IHIパーキングスクエア 首藤勉社長
IHI運搬機械は4月1日にIHIパーキングスクエアに社名を変え、パーキングに特化した企業として新たなスタートを切った。同日、代表取締役社長に就任した首藤勉氏は「IHIグループの中核事業として、機械式駐車場事業には持続的な成長が期待されている」とし、「都市部を中心に新設を取り込みつつ、納入後のメンテナンスを利益のコアとしていきたい」との展望を語った。
―「IHIパーキングスクエア」に社名を変えた。
「IHI運搬機械は、運搬システム事業とパーキング事業の両輪で展開してきた。このうち、2025年7月に運搬システム事業を(建設用クレーンの製造・販売を手掛ける)タダノに譲渡した」
「社名に『パーキング』という言葉を掲げることで、今後、パーキング事業に特化した企業として新たに出発することを表明している。スクエアには〝空間〟と〝2乗〟の二つの意味を持たせた。私たちの事業とITやデータ活用などさまざまなものを乗じることで、駐車場を、都市機能・インフラの価値や利便性を向上させ、新たな価値を生み出すものとして再定義していきたいという思いを込めている」
「パーキング事業に特化したことで、お客さまから『よりクオリティーの高いサービスを提供してもらえるのではないか』という期待の声をいただいている。しっかりと応えていきたい」
―新体制の最初の一手として、11月に住友重機械搬送システム(住重搬送)から機械式駐車場事業の譲渡を受けると聞いた。同社の手掛けている事業にどういった魅力を感じているのか。
「地下式の機械式駐車場に特化し、近年、都市部での納入実績を増やしてきていることだ。また、モジュール化を得意とし、コストを下げながら効率的に生産する体制を構築しており、見習う点が多いと感じている」
「一方、われわれも地下式の機械式駐車場を手掛けてはいるが、タワー式・二多段式のような地上の機械式駐車場に強みを持ち、これまで成長してきた。1962年に日本橋高島屋にタワーパーキングを納入して以来、業界のパイオニアとしてこれまでに約70万台以上の機械式駐車場を納入し、日本一のシェアを誇っている」
「こうした実績から裏付けされた技術やノウハウ、経験を有する人材がいる。加えて、長年お付き合いをしているお客さまと信頼関係を築き上げてきたことがわれわれの強みだ。互いの強みを生かして、シナジーを生み出していきたい」
―具体的にどのような事業展開を考えているのか。
「都市部に注力していく。地下式の機械式駐車場は、東京や大阪などの大都市部でのニーズが高い。再開発による大型の複合施設や地域のランドマークになるような象徴的な建築物で採用されるケースが非常に多い」
「都市部は市場が飽和しているという見方もあるかもしれない。しかし、再開発は活発に動いているし、暮らしやすさを求めて、都市機能の高度化はこれからも続いていくと考えている。こうしたニーズに応えられるよう、パーキングシステムの使い勝手をよくし、便利に安全に使ってもらえるように事業を展開していきたい」
―今後の機械式駐車場の需要をどのように見ているか。
「地上の機械式駐車場のうち、大型機械式駐車場は若干減少傾向にある。一方、マンションなどに設ける二・多段式駐車場は、都市部やそのベッドタウンで需要が有り、堅調に推移するとみている。地下式は都市部の旺盛な再開発需要にけん引され、緩やかに増えていくのだろうと考えている。総じて、新設は緩やかに増えていくだろう」
「納入後に提供しているメンテナンスのサービスは事業の大きな柱になってきている。現状は売り上げと利益の半分以上をメンテナンスのサービスが占めている。老朽化した駐車場も更新いただく事例が多いため、メンテナンスの市場は右肩上がりで伸びていくだろう」
―エンジニアに求められる技術や知識も変わっていきそうだ。
「新設とメンテナンスで、ベースとなるものは同じだが、それぞれに必要な技術や知識はある。近年、新設とメンテナンスの間でエンジニアを積極的にローテンションさせている。例えば、新設の設計を担当していたエンジニアにメンテナンスの部門で学んでもらい、新設の設計に得た知見をフィードバックしてもらう。こうしたサイクルをつくっている」
―ここ数年、資材価格の高騰が続いてきた。
「部品は全体的に価格が上がっている。納期の長期化といった影響もある。メンテナンスで用いる、システムを制御するためのパーツの納期が極めて長期化しており、お客さまにお待ちいただく事例も非常に増えてきている。本年度から手配を早めるなどして、解消していく」
「価格転嫁は少しずつ進めている。ただ、マンションのお客さまであれば、修繕費用を積み立てていても、予算は限られている。しっかりと丁寧に説明し、ご理解いただけるよう努めている」
―IHIは「グループ経営方針2023」でパーキング事業を中核事業に位置付けている。どのような成長戦略を描いているか。
「中核事業は収益を出すことを求められており、成長も期待されている。都市部を中心に新設を続けつつ、メンテナンスを利益のコアとし、収益を上げていくのが基本になる」
「さらに成長していくため、これまでも手掛けてきた駐車場の運営管理事業に力を入れたい。例えば、マンションに設置した機械式駐車場に空きがあるのが社会的に問題となっている。老朽化し更新費用と採算が合わなくなり撤去したいとなっても、それにも費用が掛かる。空いている駐車場を活用して、オーナーの利益につながるような仕組みが作れないかを考えていく。場合によってはM&Aも考えなければいけない」
「住重搬送からの事業譲受は、IHIグループの中でも8年ぶりの大きな投資となる。パーキング事業が中核事業として期待されている一つの証しだろう。持続的な成長を続けていくために、しっかりと取り組んでいきたい」
【略歴】91年3月青山学院大学経済学部卒。同年4月石川島播磨重工業(現IHI)入社。IHIソリューション・新事業統括本部ソリューション営業部長や同韓国支店長、IHI運搬機械取締役パーキングメンテナンス統括部長などを経て、4月より現職。57歳。東京都出身。
