『即戦力』輩出へ官民連携 若者を輝く未来の担い手に
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建設業界の人材確保を巡り、東京都と建設業3団体が担い手の育成や業界のイメージアップに向けて連携する。工業科を置く都立工科高校のカリキュラムを見直すなどして、即戦力の人材輩出につなげる。3月に発足させた協議会で施策を具体化し、2026年度中に実施に移す。
工業科を置く都立工科高校は15校。うち7校に建築科や都市工学科、設備工業科、電気科がある。24年度に15校を卒業した生徒の60%強が就職した中で、建設業の占める割合は25%だった。定員割れが続いていて、25年度の入学者数は募集枠の85%にとどまった。
都は、都立工科高校の志望者数を増やすことが、建設業界への技術系人材の輩出にもつながるとみて、入学から卒業までの対策を強化する。日本建設業連合会(日建連)、東京建設業協会(東建)、東京都中小建設業協会(都中建)の3団体と協議会を立ち上げて、施策を検討することになった。
3月の初会合には小池百合子知事と各団体の会長が顔をそろえた。小池知事から意見を求められ、日建連の宮本洋一会長は「建設業全体の魅力が向上すれば、工科高校への入学希望者も増えてくるだろう」と展望。東建の乘京正弘会長は「工科高校の生徒はやる気や能力が高い」、都中建の渡邊裕之会長は「ものづくりを体験してもらうことが大切だ」などと述べて協力を約束した。
協議会では、現場で活躍する技術者が授業に携わったり、校内外での指導・実習を通じて建設業のイメージアップを図ったりする方向で施策を検討。団体側は、工科高校のカリキュラムを見直し、生徒が資格を取得しやすくするよう提案した他、授業に生かせる現場を紹介できることなどを打診しているという。
全国の建設業就業者数はピークだった1997年の685万人から2024年には477万人と約30%減少。55歳以上が175万人と4割弱を占める反面、30歳未満は56万人と1割程度にとどまる。一方、10年度に41・9兆円まで落ち込んだ建設投資は25年度が75・6兆円と1・8倍に回復した。地域や立場を越えて、若く即戦力になり得る人材が求められている。
ある都立工科高校の4月の入学式で、新入生の総代を務めた建築科の生徒は「自分の手で図面を描き、材料を確保し組み立てて形にする。基本的なことを一から学んでいく」と決意を述べた。未来を担う若者を輝かせるのは現役世代の使命だ。
