賃金調査 工事成績で加点 「適正価格での入札」促す 

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 国土交通省は、直轄工事で試行している技能者の賃金・労働時間の実態調査について、工事成績評定での活用を検討する。入札・契約という工事の「入口」では、4月から工事費見積書に労務費の内訳明示を求めており、実態調査を通じて把握した労務費・賃金支払いを工事検査という「出口」段階で評価する仕組みを整える。労務費ダンピングを防ぎ、適正な価格での入札を促す取り組みの一環として示した。  4月21日に開いた「発注者責任を果たすための今後の建設生産・管理システムのあり方に関する懇談会」の部会で打ち出した。第3次担い手3法で労務費が適正な施工に不可欠な経費と位置付けられたことを踏まえ、適切な見積もりを促し、ダンピングとならない公正な競争環境を整備する。  賃金・労働時間の実態調査は、2025年度から受注者希望で実施しており、これまでに約250件で実施した。技能者の労働時間と雇用主から受け取っている賃金を把握し、公共工事設計労務単価相当の水準を確保できているか確認している。  工事成績評定では、施工体制一般を対象とした項目で、技能者の労働条件・労働環境の整備に向けた取り組みを評価することを想定。まずは、実態調査を行ったことを評価対象とし、実態調査の実施率を高める。  現行では、一部の職種にとどまっている調査対象の拡大も目指す。これに伴い、調査の実施は段階的に発注者指定へと移行する。受注者が支払った労務費・賃金が労務単価相当となるよう、支払い金額の水準についても目標を定め、将来的には順守すべき基準とする。取り組みの進展に応じて、工事成績評定での評価条件も見直す。  今後は、技能者の労働時間や賃金だけでなく、元下契約に含まれる諸経費などの確認方法も検討課題になるとした。新技術の活用や、下請けの技能者育成に要するコストを公共工事の発注で評価し、より適切な受注者選定の仕組みを構築する。  技能者の作業時間や労務費の把握は、受注者の生産性向上にも生かす。部会では、四国地方整備局管内の工事で技術提案評価型S型を導入し、技能者の作業効率を高める提案を求めた事例を紹介。定置式水平ジブクレーンで資材運搬を効率化するとともに、作業時間を把握して効率化の効果を客観的に評価した。  今後は、猛暑対策として事務所発注工事でS型を適用し、技能者作業の短縮や省人化に向けた提案を求める試行を予定。技能者の労働時間を把握する慣行を元請けに定着させ、高い見積もり能力と技術提案をベースとした競争環境の実現につなげる。  部会ではこの他、入札不調や不落の要因に応じた対策として、入札の要件緩和や予定価格の見直し、必要な労務費を確保した上で歩掛改善によりコストを圧縮するようなVE提案の試行的検討に取り組むこととした。